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『サーミの血』知られざる北欧の差別の歴史。新人監督が“自らのルーツ”を通じて描きたかったこととは?

(c) 2016 NORDISK FILM PRODUCTION

『サーミの血』知られざる北欧の差別の歴史。新人監督が“自らのルーツ”を通じて描きたかったこととは?

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新人監督が下した“ルーツを描く”という選択



 あらゆる映画作品は、作り手から受け手へ向けて「この物語を伝えたい」という強靭な思いを凝縮して提示されるものだ。仮にそれが初めての劇場監督作ともなれば、世の中はまだその監督について何も知らないわけだから、そこには技術的な力量にも増して、まずはこの世界で自分にしかもたらすことのできない視座と、自分にしか紡ぐことのできないストーリー、それらを観客の胸にダイレクトに放つ圧倒的な情熱が必要となるのは言うまでもないこと。



『サーミの血』(c) 2016 NORDISK FILM PRODUCTION


 北欧から日本に届いた『サーミの血』は、アマンダ・シェーネルという86年生まれの若き女性監督が紡ぎだした初長編作である。その初となる「映画的一歩」を踏みしめるにあたり彼女が選択した“唯一無二”のもの、それは自分自身のルーツを、彼女にしか成しえないスタイルで入念に描き出すというものだった。そこにはある種の覚悟がなくてはならないし、時にはリサーチの段階で思わぬ傷跡を掘り起こすことにもつながるかもしれない。さらには製作の過程で言い知れぬ“痛み”をこうむることもあるだろう。だが、本作を観ながら強く気づかされるのは、誰よりもシェーネル自身が「自らのルーツを深く知りたい」と静かに情熱を燃やす探求者であるという事実だ。こうした強い思いが原動力となって、この映画を別格の存在へと至らしめ、私たちの心をつかんで離さない。



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