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ここではない何処かへ――レスリー・チャン演じるヨディは、なぜ南の楽園を夢見るのか?『欲望の翼』※注!映画のラストに触れています。

ここではない何処かへ――レスリー・チャン演じるヨディは、なぜ南の楽園を夢見るのか?『欲望の翼』※注!映画のラストに触れています。


トニー・レオンとウォン・カーウァイが痛切に夢見た「ここではないどこか」



 ところが、あるハプニングが起こる。


 1990年4月、主要キャストであるカリーナ・ラウが、黒社会が出資する映画に強制的に出演させられそうになり、彼女が断固として拒絶したところ、報復として拉致されるという事件が起きた。当時の香港映画界は、マネーローダリングを狙って東南アジアの組織が次々と映画会社を製作し、いわば金銭的に牛耳られているような状況で、映画監督や俳優が出演を拒むと暴力で嫌がらせを受けるという事件が多発していた。例えばチャウ・シンチーと独占契約していた事務所に銃弾が撃ち込まれたり、ジェット・リーのマネージャーが射殺されたり、血生臭い騒動が絶えなかった。あのジャッキー・チェンでさえも契約の騒動に巻き込まれ、拉致事件の被害者になっている。その渦にカリーナも巻き込まれることとなってしまったのだ。




 この事件は彼女にとって大きなトラウマとなったが、この時、毅然と対応をしたのが当時、カリーナと恋人の関係にあったトニー・レオンであり、後になってカリーナは、彼が自分を守るためにウォン・カーウァイの映画を降板したと告白している。一時期、自殺まで考えたというカリーナの精神的な支えとなるための決意であり、彼はふたりで俳優を辞めることも提案したという。カリーナは2010年代になって香港の媒体でトニーの発言を証言している。「俳優をやめるから、2人で別の国へ行こう。こんな場所にいることはない」(RECORD CHINA2013年11月18日の配信より)


 ウォン・カーウァイ自身、当時、香港映画界を取り巻く状況に嫌気をさし、黒社会の資金に依存しない映画作りを模索していた。


 ここではないどこかへ――それはトニー・レオンやウォン・カーウァイが痛切に願った決意であり、トニーの降板と入れ替えに、この映画の主人公となったレスリー・チャンに委ねられることになる。



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