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『素敵なダイナマイトスキャンダル』と併せて知る、時代を盛り上げたエロ雑誌業界の盟友たち

©2018「素敵なダイナマイトスキャンダル」製作委員会

『素敵なダイナマイトスキャンダル』と併せて知る、時代を盛り上げたエロ雑誌業界の盟友たち

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オルタナティヴな伝説の映画雑誌『ZOOM-UP』を率いた池田俊秀



 まずは昨年刊行された『 エロ本水滸伝-極私的エロメディア懐古録-巨乳とは思い出ならずや』(2017年/人間社文庫)だ。


 著者の池田俊秀は、ちょうど末井が『NEW self』を手掛けていた時期にセルフ出版に入社。同誌の編集に参加することになった。本書で末井は「S氏」と記されており、「アバタ顔の編集者」「ヌーボー然とした容姿でニコニコしながらボソボソ話すS氏には、不思議な魅力があった。直感力の鋭さと発想のユニークさ、人間的な倒錯性、エロティシズムが凝縮したような個性」など、池田から見た末井像も知ることができる。また当時の編集部のヤバいエピソード(乱●とか、●の葉とか……詳細は秘しておこう)もたくさん紹介されていたりする。



『素敵なダイナマイトスキャンダル』©2018「素敵なダイナマイトスキャンダル」製作委員会


 この『NEW self』は1977年に発禁騒ぎから廃刊へ。そのあと、末井の「映画雑誌やんない?」の一声がきっかけで、池田が編集長となって同年の秋に創刊された伝説の雑誌が『ZOOM-UP』である。


 これはピンク&ポルノ映画や自主映画など、メジャーシーンが歯牙にも掛けない新しい映画の動きをプッシュしまくるというオルタナティヴな映画雑誌であり、若者を中心にカルト的な支持を獲得。編集部には現・映画評論家の塩田時敏らも在籍していた。1981年4月号をもって終刊になるが、その間、本誌の唯一のライバルだったのが、同じ出版社で末井が手掛けている『ウイークエンドスーパー』だったというのだから、当時のこの界隈の熱気は凄まじいものがある。もちろん両誌をめぐるキーパーソンはずいぶん重なっていた。


 ところで池田は1981年10月にセルフ出版を退社。別の出版社数社で編集者として活躍したあと、1997年に49歳で亡くなっている(生まれは1948年だから末井と同い年だ)。この書籍『エロ本水滸伝』は、巨乳雑誌『ギャルズD』(ダイヤ出版)に1996年3月号まで連載された彼の遺稿を、ちょうど没後20年のタイミングでルポライターの鈴木義昭がまとめたものだ。もちろん鈴木は若手時代、『ZOOM-UP』に寄稿していたライターの一人である。



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