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『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』ゲイリー・オールドマンが切り開いた「演技×特殊メイク」のハイブリッドな役づくり

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』ゲイリー・オールドマンが切り開いた「演技×特殊メイク」のハイブリッドな役づくり


伝説的メーキャップ・アーティスト、辻一弘の招聘



 「チャーチルとして就寝し、ゲイリーとして目覚める」とは、つまり起きている間はずっと役に徹し続けるということだ。この異様な日々はおよそ1年に渡って続いた。その過程で彼は、ジョー・ライト監督とともに数々のフッテージをチェックしながら、チャーチルの歩き方、話し方、声のトーン、アクセント、訛り、身振りや手振りに至る細部に至るまで神経を行き渡らせ、役づくりを綿密に詰めていった。


 そして、すでに見てきたように、ゲイリー・オールドマンの役づくりにおいて「外見」は極めて重要な意味を持つ。それは歴史劇である本作でも全く変わらないどころか、そこにはかつての『ベートーヴェン』の遥か上をいくような展開が待っていた。


 「頭で理解するだけでなく、肉体的にもチャーチルを感じることができなければならない。彼のように動き、鏡を覗いた時にそこに彼を見つけることができなければ」


 かく言う彼が提示した「条件」とは、すでに多くの方がご存知のように、日本人のメーキャップ・アーティスト、辻一弘(「辻」はしんにょうに点が一つ)の起用だった。




 事と次第によっては辻氏の招聘は、ゲイリーのキャスティング以上に難しいミッションとなる可能性もあった。というのもハリウッドで数々の功績を残した彼は、すでに2012年にこの業界から引退し、現代美術家として活動していたからだ。そこで彼をもう一度映画の世界へと呼び戻すべく、ゲイリー本人が直接メールで「あなたが引き受けてくれるのなら、私はこの映画に出ようと思う」と依頼の言葉を送った。


 辻氏とゲイリーの最初の出会いは『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)の製作現場だったという。辻はゲイリーの“型取り”を行うなどして言葉を交わしたものの、結局この時は制作側との折り合いがつかず、ゲイリーは同作を降板。しかしその後も個人的に辻のポートレート作品を鑑賞するなどして気にかけ続けていたのだとか。もしかすると彼自身、いつか辻の力を借りる日が来るという漠然とした予感を抱いていたのかもしれない。そして今回、ついにその機会は訪れた。他でもないゲイリー・オールドマン本人からの直接の依頼に辻の心は大いに動かされた。さらに、歴史的人物を特殊メイクで表現するという画期的な試みにも意義を感じ、彼は最終的にこの仕事を請けようと決意するのである。



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