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『ラブレス』私の映画はロシアの鏡。物言わぬ子どもの眼差しが親の欺瞞を炙り出す

『ラブレス』私の映画はロシアの鏡。物言わぬ子どもの眼差しが親の欺瞞を炙り出す

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ロシアの偉大なる作家たちと並ぶ映画監督、アンドレイ・ズビャギンツェフ



 力強い映画監督が現れたとき、その国の偉大なる先人と比較されてしまうのは宿命である。日本で言うなら、溝口健二、小津安二郎、黒澤明と何かと比較されてしまう、という風に。


 ところが、ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフの場合、アンドレイ・タルコフスキーと比較されるのはもちろん、さらに遡ってアレクサンドル・プーシキン(1799-1837)やニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)、フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821-1881)といった19世紀の偉大なる小説家の名前がもれなく付随して、作品が批評される運命にある。不条理を描く作家であること、時代を越えた普遍的な家族の悲劇を描くこと、いくつもの理由が存在するが、見た後に消化できない重くて苦い圧倒的な読後感を残す、という点で、まさに重量級の作家たちと同じ地平線で語りたくなる、いや、語るべき映像作家であるからだ。




 彼の作る映画が凄いのは、たった一行で説明できてしまう話であるところだ。初監督作でベネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞した『 父、帰る』は長年不在だった父親が戻ってくる話、『 ヴェラの祈り』では、よその男の子どもを妊娠したと妻が夫に打ち明ける話、『 エレナの惑い』は大金持ちと再婚した初老の女性が財産を自分の子どもに残そう奮闘する話、『 裁かれるは善人のみ』は町の都市開発で廉価な値段で土地を買収されそうになる自動車修理工の話、そして最新作『ラブレス』は離婚の物語。



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