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果てなき模索の物語『ラブレス』が現代に投げかける問いとは

果てなき模索の物語『ラブレス』が現代に投げかける問いとは

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※2018年4月記事掲載時の情報です。

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崩壊する家族



 ロシアの社会と家族の姿を描き続けるアンドレイ・ズビャギンツェフ監督。初の長編映画『 父、帰る』(2003年)がヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞と新人監督賞を同時受賞するという快挙を成し遂げて以降、発表する長編すべてが主要な映画祭や映画賞で高く評価されてきた。5作目にして最新作となる『ラブレス』もまた、昨年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門で上映され、審査員賞を獲得。今年のアカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。


 今作の核となるのは、一流企業で働くボリスと美容サロンを経営するジェーニャの夫婦、そして12歳の息子アレクセイ。夫婦の関係は冷え切っている。ボリスには妊娠中の若い恋人、ジェーニャには年上で裕福な恋人がいて、早々に離婚し人生をリスタートさせたいと望んでいるのだ。息子を引き取りたくない2人は大声でののしり合い、それを聞いたアレクセイは声を押し殺して泣く。




 ある朝家を飛び出したアレクセイは、そのまま行方不明になる。仕事や恋人との逢瀬で留守がちな夫婦は、息子の不在を失踪2日目に小学校からの連絡で知る始末。愛なき家族が音を立てて崩れ壊れていくさまを、私たち観客は見守るしかない。



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