『心と体と』あらすじ
ハンガリー、ブダペスト郊外の食肉処理場。代理職員として働くマーリアは、コミュニケーションが苦手で職場になじめない。片手が不自由な上司のエンドレは彼女を気に掛けるが、うまく噛み合わず…。そんなある日、牛用の交尾薬が盗まれる事件が発生する。犯人を割り出すため、全従業員が精神分析医のカウンセリングを受ける事態に。すると、マーリアとエンドレが同じ夢を共有していたことが明らかになる。二人は夢の中で“鹿”として出会い、交流していたのだ。奇妙な一致に驚くマーリアとエンドレは、夢の話をきっかけに急接近する。マーリアは戸惑いながらもエンドレに強く惹かれるが、彼からのアプローチにうまく応えられず二人はすれ違ってしまう。夢の中ではありのままでいられるのに、現実世界の恋は一筋縄には進まない。恋からはほど遠い孤独な男女の少し不思議で刺激的なラブストーリー。
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ベルリン金熊賞受賞、アカデミー外国映画賞ノミネートの珠玉作
長編デビュー作『 私の20世紀』(1989年)がカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞し、“ハンガリーの鬼才”と称されるイルディコー・エニェディ。30年近いキャリアの中で、長編作品はわずかに4本。寡作ではあるが、18年ぶりの発表となった『心と体と』(2017年、日本では4月14日公開)はベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)を受賞。審査員長のポール・ヴァーホーヴェン監督をして「審査員みんなが恋をした」と言わしめた。
『心と体と』2017 (C) INFORG - M&M FILM
また2017年のヨーロッパ映画賞でも、『 レット・ザ・サンシャイン・イン』のジュリエット・ビノシュや、『 ハッピーエンド』のイザベル・ユペールらを抑え、本作のヒロインを演じたアレクサンドラ・ボルベーイが最優秀女優賞を獲得。今年のアカデミー賞外国映画賞にもノミネートされるなど、世界の映画人に愛され、高く評価されているのが本作『心と体と』なのだ。
※2018年4月記事掲載時の情報です。