(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation
『デッドプール2』自作自演で「第四の壁」を軽々と破壊し、当たり役を極めたライアン・レイノルズ ※注!ネタバレ含みます。
『デッドプール2』あらすじ
最愛の恋人ヴァネッサとの幸せな生活を取り戻し、お気楽さも絶好調のデッドプール。そんな彼の日常を脅かす強敵が現れた。未来から来たという“マシーン人間”ケーブルだ。ミュータントの孤児院で暮らす、強力なパワーを秘めた少年ラッセルを狙うケーブル。愛するヴァネッサのために“いいヤツ”になることに決めたデップーは、少年を守ることに!しかし、一人ではとても敵いそうもないと考えた彼は、特殊能力を持つメンバーを集めて、最強鬼やばチーム“Xフォース”を結成する!しかしケーブルとの戦いは、予想もしない方向へ急展開。究極の決断を迫られるデッドプール。さぁ、どうする、俺ちゃん!?
Index
俳優の名前まで出して、フィクションと現実を融合
デッドプールの最大の魅力といえば、「第四の壁」を壊すこと。「第四の壁」とは、もともと演劇用語で、舞台で上演されているフィクションの世界と、それを客席で見つめる観客とを隔てる見えない壁を示し、創作物(=非現実)と現実世界を分けるものだ。つまり第四の壁を壊すというのは、フィクションの世界に生きる役者が、現実の観客に見られていることを意識すること。『デッドプール』は1作目からその行為が徹底されており、主人公のデッドプールが、映画を観ているわれわれに話しかけ、状況や本心を説明してくれた。
そんな第四の壁の破壊は、続編『デッドプール2』ではさらに加速している。デッドプールがこちらに話しかけるだけでなく、「ここで1曲」などとBGMのキューを出し、曲とともにバトルアクションを開始したりする。主人公が、ほぼ“演出家”状態になってしまうのだ!
『デッドプール2』(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation
映画の世界(フィクション)と現実の境界はさらに曖昧になり、『 X-MEN』シリーズとのつながりでは、プロフェッサーX(チャールズ・エグゼビア)が使うヘルメット状の装置「セレブロ」を装着したデッドプールが「これはパトリック・スチュワートが被ったやつ」などと、ふざけながら言う。映画の世界の話なら、「プロフェッサーXが~」と説明するはずだが、演じた役者(=現実世界の話)にすりかえてしまうのだ。同じような例で、デッドプールがサインをするシーンがあるのだが、そこに書かれる文字は「Ryan Reynolds」。演じている俳優の名前を出すことで、あっさりとフィクションと現実の境界を超えていくのである。