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  4. 『ビューティフル・デイ』カンヌ二冠(男優賞、脚本賞)。論理的な理解を超え、観る者の感性をダイレクトに揺さぶる映像世界
『ビューティフル・デイ』カンヌ二冠(男優賞、脚本賞)。論理的な理解を超え、観る者の感性をダイレクトに揺さぶる映像世界

『ビューティフル・デイ』カンヌ二冠(男優賞、脚本賞)。論理的な理解を超え、観る者の感性をダイレクトに揺さぶる映像世界


役作りの上で共有された「打ち上げ花火」の音源



 すべてを大っぴらに見せるのではなく、観客の感性に向けて、言葉ではない手段でダイレクトに訴えかける。これはリン・ラムジーが初監督作から貫いてきた方法論だ。もちろんこれを成功させるため、俳優陣とも深く話し合い、密接に感覚やイメージを共有することにも抜かりはない。その中で本作の準備過程では一つの音源が大きな役割を果たしたという。


 それはブルックリンのアパートメントに滞在していたラムジーが聞いた爆音だった。その日は7月4日の独立記念日で、爆音が花火であることはすぐ分かったが、すぐさま見上げる夜空は真っ暗で、肝心の花火は全く見えなかった。ラムジーはこれをすぐさま録音し、後日「これがあなた(主人公)の頭の中で毎日起こってる状態よ」とホアキン・フェニックスに聞かせたという。




 ホアキンの中でこれが鮮明なイメージとなり、役作りの手がかりの一つとなったことは明白だ。どこか静謐でありながら、しかし何かの感情が絶えず爆発を繰り返しているイメージ。彼らはこのようにして感性に訴えかける材料を共有することで、同じものを見つめ、その目的地に向かって突き進んでいく糧としていたのである。そしてある意味、本作もまた、最初から最後まで打ち上げ花火が鳴り響いているような映画といえる。



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