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アクション映画の革命作『ダイ・ハード』とゴジラとの意外な関係

アクション映画の革命作『ダイ・ハード』とゴジラとの意外な関係

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4K時代でも見栄えを失わない特殊効果ショット



 アナログ時代、リチャード・エドランド率いる「ボス・フィルム」はオプティカル(光学)分野の特撮において、最もハイテクを極めた特殊効果スタジオだった。とりわけ優れていたのは画面合成技術で、同スタジオはラージサイズの65mmフィルム(通常の映画フィルムのサイズは35mm)を用いることで広い画面をキープし、デュープ(複製)のさいの画質劣化を抑える手法をとっていたのだ。


 もともとエドランドは合成技法の向上にキャリアの早期からこだわりを見せ、たとえば『 スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(80)では、35mm幅のフィルムを垂直ではなく水平に移動させて倍の撮影面積をとる「ビスタビジョン」の高速度カメラ(コマ数が多いほど映像は精細になる)と、4つの合成用プロジェクターヘッド(複数のエレメントを一度の露光で合成させる機能)を持つオプティカルプリンターを自ら開発し、それらを用いて精密な合成ショットを創り出している。その成果は白い雪原に白い機体のスノースピーダーを飛ばしても、マットの輪郭がチラつかないという奇跡の場面にあらわれている(残念ながら、こうした苦労の痕跡をジョージ・ルーカスは『特別篇』と称したデジタル・レタッチ版を作って台無しにしているが)。




 『ダイ・ハード』の場合、エレベーターシャフトや装甲車の破壊シーン、ならびにクライマックスのナカトミビルの爆破シーンなど、40カ所に及ぶ特殊撮影の場面をボス・フィルムが担当。特に高層ビルの最上階爆破は実際にライブで撮影することが不可能なので、三種類のスケールで作ったミニチュアのナカトミビル(原型はロサンゼルスにあるフォックス・プラザ・ビル)や、無線で制御するヘリコプターの模型、そして爆発の火球などを65mmで撮影。それらのエレメントを同スタジオが開発した65mmオプティカルプリンター「ZAP」(Zoom Aerial Image Optical Printer)でかけ合わせて完成へと導いている。ZAPは素材の動きを10,000分の1以下の誤差で反復し、エレメントに応じてモーション・コントロール・ズームや挿入マットの作成を自在におこなうプログラム機能を持つ。1987年に米アカデミー科学技術賞を受賞したこのハイエンドなシステムは、大胆な画作りの合成を可能にしつつ、まるで現実の映像と見紛うような物理的効果を生み出すのに最大の貢献を果たしている。


エドランドは言う。「『ダイ・ハード』は特撮映画というよりサスペンス映画だ。だから観客がリアルさを感じられないようでは困る。『スター・ウォーズ』のような空想世界なら撮影も楽だが、奇抜なものよりリアルなものを作る方が、ずっと難しいものなんだ」




 先ごろ『ダイ・ハード』は製作30周年を記念し、4K ULTRA HDブルーレイソフトがリリースされた。こうした高画質のメディアで本作を観ても、ボスフィルムが手がけたオプティカル合成はマスクのちらつきやデュープを重ねた画質の粗さがほとんど見られない。むしろ4Kという細かな解像度の時代になったことで、改めて65mm合成の高いクオリティやポテンシャルを実感できるのだ。



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