Batman and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © Warner Bros. Japan LLC
「妥協は死」!『ニンジャバットマン』でアニメの極北を目指したスタッフたち ※注!ネタバレ含みます。
映画の常識を打ち破るアイデアの掛け算
水﨑と中島をはじめとするスタッフはストーリーを練る際のミーティングで、お互いのアイデアを決して否定せず、出るアイデアを全て足し算していったという。
「映画は引き算の芸術」などと言われることもあるが、『ニンジャバットマン』は足し算どころか、完全に掛け算で内容がエスカレートする。例えばこんな風に。
「日本のアニメなら巨大ロボを出さなきゃ」→「戦国時代だからロボは城だ」→「じゃあ、悪役の城は5つあるから五城合体だ!」・・・といった具合に話はエスカレートしたようだ。ではジョーカーがあやつる巨大な城とバットマンはどうやって戦うのか・・・?「無数のサルが合体して巨大なサルに」→「さらに無数のコウモリが合体し、巨大バットマンに!」。(画面で起こったことを文字にしているだけなのだが、この部分だけ読んだ人は意味不明だろう)。
『ニンジャバットマン』Batman and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © Warner Bros. Japan LLC
誰もブレーキを踏まないアイデア会議を重ね脚本は仕上がった。しかし本当に難しいのは合体に合体を重ね組みあがった奇怪なアイデアの大伽藍を、いかに映像化するかだろう。
それをなしとげたチームこそ、水﨑監督率いる神風動画なのだが、その思想は社訓を見れば一目瞭然だ。曰く「妥協は死」(このご時世にブラック臭が強すぎる社訓では?と心配になるが、普段の神風動画は徹夜禁止で社員が戸締りをして帰るホワイト企業だとか)。
その社訓が示す通り、全編にわたって力の抜きどころは見当たらない。水﨑監督は90秒のアニメを全力で作る勢いで90分作ることを目指したという。その思惑通りアニメ本来が持つ動きの快楽を極限まで追求し、緻密にデザインされたアクションシーンがこれでもかと詰め込まれている。