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『ウインド・リバー』脇役俳優テイラー・シェリダンが、大注目の脚本家/監督になるまで

『ウインド・リバー』脇役俳優テイラー・シェリダンが、大注目の脚本家/監督になるまで


フロンティア3部作が意味するものとは?



 では、この遅咲きの才能が手掛けた3作品からは、どんな作風や傾向が読みとれるのか。まず踏まえておくべきなのは、これらが「フロンティア3部作」と銘打たれていることだ。そこにはストーリー的な関連性は全くない。当初は独立した作品として執筆を始めたらしいのだが、途中でふと「いま書いているような特殊性を持ったエリアは他にもあるはずだ。それらを個々の物語に仕立て、シリーズ化していくと面白いのではないか」と感じたそう。プレス資料を紐解くと次のような発言にも触れることができる。


 「現代の西部開拓地域は、人としてのアメリカ人が何者なのかを雄弁に語ってくれる。アメリカは新しい国だ。ごく最近になって入植した地域であり、その入植と同化の結果が今日でもはっきりと存在していることがわかる。これまで映画では直視されてこなかったことだ。だからこそ僕はそれを模索したいと思ったんだ」




 前2作のメキシコとの国境、テキサスの荒野に続き、新作『ウインド・リバー』で描かれるのは、ネイティブ・アメリカンが暮らす保留地というエリアだ。彼が「”フロンティア”というものを保留地システムなしに論じることなどできない」と語るとおり、先住民族が強制移住させられて暮らすこの地には数々の問題点がはびこり、アメリカ国民はこの事実から目を背けるどころか、今やすっかりと忘れ去ってしまっている。


 他の監督に委ねた前2作と異なり、シェリダンはこの作品だけは自分の手で監督することになるだろうと薄々感じていたという。担い手がいないからというわけではない。この作品は長年にわたり信頼関係を築いてきた多くのネイティブ・アメリカンの友人たちやコミュニティの協力なくしては生み出せなかったもの。彼らの経てきた歴史や境遇、生き様を代弁するような形で、いわば「託された」ものだった。それゆえ、他の監督が手がけてその中身が薄められたりすることは絶対にあってはならない。「いい映画になるかどうか確信は持てなかったが、ただし彼らへリスペクトを持った作品にはなると思った」と彼は語る。このように、世話になったネイティブ・アメリカンたちの気持ちを裏切れないという思いから、彼は脚本のみならず映画監督も手がける決意を固めたのだ。



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