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傑作サスペンス『ウインド・リバー』が現代の“西部劇”でもある理由

傑作サスペンス『ウインド・リバー』が現代の“西部劇”でもある理由

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ネイティブ・アメリカン保留地を舞台にした異色サスペンス



 2017年、『ウインド・リバー』の快進撃はアメリカのたった4館の映画館から始まった。この時、1館あたりのオープニング週末興収のアベレージが4万ドルを超える好スタートを記録。これを受けて劇場数は徐々に追加されていき、5週目には並み居る大作を抑えて北米週末興収ランキング第3位にまで浮上を果たしたのだ。


 このように最初はあえて間口を狭くして口コミ効果が徐々に広がるのを待つやり方は、高品質のインディペンデント映画を世に送り出す上でよく用いられる手法だ。初お披露目されたサンダンスで高い評価を受け、カンヌ映画祭の「ある視点」部門では監督賞を受賞した本作だけに、配給や興行の側もこの勢いを決して失わぬよう考え抜かれた戦略にて公開に臨んだ様子がうかがえる。結果、累計興収は北米だけでも制作費の3倍にあたる3,300万ドルに達し、その後の海外興行でもさらなる賞賛と支持の輪が広がり続けている。




 では、そんな絶賛評の相次ぐ『ウインド・リバー』とはどのような作品なのか。


 舞台はアメリカ中西部、ワイオミング州にあるネイティブ・アメリカンの保留地。冬になると極寒の気候に見舞われ、夜間はマイナス30度となるこの一面の銀世界で、”静かな衝撃”は幕を上げる。冒頭、発見されるのは、ネイティブ・アメリカンの少女の凍てついた遺体。防寒着は着用せず、足元は裸足だ。口からは大量の出血。そして検視の結果、少女は何者かによって暴行を受けていた事実も判明する。この保留地内でいったい何が起こったのか。なぜ彼女は無残な死に追いやられてしまったのか。野生生物局のコリー(ジェレミー・レナー)とFBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)はこの事件を解明すべく、残された形跡を少しずつ手繰り寄せていく・・・・。




 本作は事実に基づく————観客はこの一文の重さを引きずりながら、「ネイティブ・アメリカン保留地」という特殊なコミュニティが抱える、外の世界からは想像もできない現実を突きつけられることとなる。その事件の内容やストーリーを近くから見つめると、本作は紛れもないクライム・サスペンス、それも社会や地域の特殊性を濃厚に盛り込んだ、社会派としての側面も併せ持った作品のように見えてくる。


 が、『ウインド・リバー』をちょっと離れたところから俯瞰すると、また別の姿が見え始め、これまで西部劇(ウェスタン・ムービー)が描き続けてきた要素が受け継がれていることに気づくはずだ。




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