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傑作サスペンス『ウインド・リバー』が現代の“西部劇”でもある理由

傑作サスペンス『ウインド・リバー』が現代の“西部劇”でもある理由

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名脚本家が描く3部作の最終章としての位置付け



 ちなみに本作は、脚本家テイラー・シェリダンがこれまでに描いてきた“フロンティア3部作”の最終章という位置付けになっている。


 彼の前作にあたる『 最後の追跡』(日本ではNetflixにて配信中)は、舞台設定から登場人物に至るまで、どこからどう見ても西部劇の現代版ともいうべき内容だった。となると、その流れを組む『ウインド・リバー』にも、少なからず同じ血潮が流れているのは当然といえば当然か。


 西部劇は決して過去の遺物ではないし、様々な意味合いにおいて“フロンティア”は未だに無くなってなどいない。問題は解決どころか、開拓時代から全く手付かずの状態で雪に埋もれ、放置されてきたように思える。だが本作は、そんな中において現在進行形の痛ましい事実を告発しつつ、映画という手段で先の見えない未来を懸命に切り開いていこうとする。とりわけ、主人公がネイティブ・アメリカンたちと同じ痛みを分かち合い、なおかつ互いにしっかりと寄り添い合う姿には、アメリカという超大国が未来へと向かう上で不可欠なスピリットが込められているように感じられた。




 かくも『ウインド・リバー』は、静かな佇まいの中に強い精神性やテーマを秘めた、クライムドラマとしても社会派としても、そして現代版の西部劇としても秀逸な重厚作である。今後は西部劇全体を語る上でも避けて通れない一作となっていくのではないだろうか。



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンⅡ』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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ウインド・リバー

提供:ハピネット、KADOKAWA 配給:KADOKAWA

公式サイト: wind-river.jp

2018年7月27日 角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー

(c)2016 WIND RIVER PRODUCTIONS, LLC.  ALL RIGHTS RESERVED.


※2018年8月記事掲載時の情報です。

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