2018.11.16
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』あらすじ
アメリカ国内の商業施設で市民15人の命が奪われる自爆テロ事件が発生。 犯人一味がメキシコ経由で不法入国したと睨んだ政府は、 国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテルを混乱に陥れる任務を、 CIA工作員のマット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)に命じる。それを受けてマットは、 カルテルへの復讐に燃える旧知の暗殺者アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)に協力を要請。 麻薬王の娘イサベル(イザベラ・モナー)を誘拐し、 カルテル同士の戦争を誘発しようと企てる。 しかしその極秘作戦は、 敵の奇襲やアメリカ政府の無慈悲な方針変更によって想定外の事態を招いてしまう。 メキシコの地で孤立を余儀なくされたアレハンドロは、 兵士としての任務と復讐心、そして人質として保護する少女の命の狭間で、 過酷なジレンマに直面していく……。
Index
- あの衝撃作が、3年ぶりに新章へと突入
- イタリアからやってきたステファノ・ソッリマという逸材
- 暗黒世界を描き続けてきた、並ぶ者のいない鬼才
- 名匠ソッリマがこのプロジェクトに感じた運命的なもの
- 監督の独自性を存分に解放させる製作スタイル
あの衝撃作が、3年ぶりに新章へと突入
近年、メキシコとアメリカの国境には、世界中の注目が集まっている。その大きなきっかけを作ったのはやはりドナルド・J・トランプが公約に掲げる「国境の壁建設」の主張だろうが、2015年公開のサスペンス・アクション作『ボーダーライン』(原題:Sicario)はトランプが大統領選に勝利する一年以上も前にこの地にフォーカスし、ドラッグ密輸をめぐる各勢力のうごめきをダイナミックかつスリリングに描き出してきた。その意味でも監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴと、脚本家テイラー・シェリダンの“時代の読み方”には怖いほどの鋭さが見て取れる。
あれから3年、ついにその続編がベールを脱ぐーー。とはいえ、ここまでの道のりは決して順調なものではなかった。堅実な興行的ヒットと高評価に恵まれた前作は、米公開からひと月も経たないうちに続編製作が決定。しかし、一作ごとに激賞を重ねていくヴィルヌーヴは『メッセージ』や『ブレードランナー2049』の製作のため一切の余裕がなくなり、肝心の続編監督は別の才能へと託されることになったのだ。
2016年6月、「続編の監督は、TVシリーズ『ゴモラ』のイタリア人監督ステファノ・ソッリマに決定!」との一報が駆け巡った時、おそらく多くの映画ファンたちは複雑な思いを抱えたことだろう。ヴィルヌーヴの不在を嘆くと共に、このイタリア人について「だ、だれ?」と首を傾げた人も多かったはず。続編への出演が決定済みだったベニチオ・デル・トロでさえ、ヴィルヌーヴが監督しないと知った時「大丈夫かな?」と不安がよぎったという。