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傑作サスペンス『ウインド・リバー』が現代の“西部劇”でもある理由

傑作サスペンス『ウインド・リバー』が現代の“西部劇”でもある理由

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西部劇が描き続けてきたテーマの“現在地”がここにある


 

 もともと西部劇が描いてきたのは、フロンティア・スピリット溢れる開拓時代の人間たちの姿だ。ある時は開拓民の暮らしが描かれ、またある時には馬にまたがったカウボーイや荒くれ者、や保安官らを交えた抗争、そして以前よりその地に住んでいた“先住民族”たちを、一方的に敵として描いた作品も数多く生み出された。


 しかし今となっては、そこにまつわる負の歴史について誰もが知っている。白人たちがネイティブ・アメリカンを追いやっていく過程は明らかな征服行為でもあり、その中では多くの悲劇が生まれてきた。また、ネイティブ・アメリカンたちは、暮らしや文化の独立性を保証するという名目で、白人層によって“保留地”と呼ばれる土地に半ば強制的に移住させられた歴史を持つ。『ウインド・リバー』ではこれらの歴史について表立って描かれることはないが、物語の前提となってそこに存在するのは確かだ。




 つまり本作は、西部劇が描き続けてきた歴史と“地続き”のところにある。これらの文脈を抜きにして、この地の現在を語ることなどできないのである。




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