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『タリーと私の秘密の時間』『JUNO ジュノ』のオスカー脚本家が女性映画をアップデート※注!ネタバレ含みます。

© 2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

『タリーと私の秘密の時間』『JUNO ジュノ』のオスカー脚本家が女性映画をアップデート※注!ネタバレ含みます。

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※本記事は、物語の結末に触れていますので、未見の方は映画鑑賞後にお楽しみいただくことをお勧めします。


『タリーと私の秘密の時間』あらすじ

もうすぐ3人目の子供が生まれるマーロ(シャーリーズ・セロン)は、大忙しの毎日を送っている。娘のサラ(リア・フランクランド)は手がかからないが、息子のジョナ(アッシャー・マイルズ・フォーリカ)は情緒が不安定だ。今日も姉弟が通う小学校の校長に呼び出され、ジョナをサポートする専属教師を自分で雇ってほしいと言われてしまう。夫のドリュー(ロン・リヴィングストン)は優しいが、家事も育児も妻に任せっきりで、マーロもそれが当たり前だと思っていた。


ある日、事業で成功して贅沢な暮らしを送るマーロの兄のクレイグ(マーク・デュプラス)が、出産祝いに夜専門のベビーシッターを手配してくれると言う。見知らぬ人に赤ん坊を預けることに抵抗と罪悪感のあるマーロは断るが、クレイグは妹に強引にシッターの電話番号を渡すのだった。無事に女の子を出産したマーロだが、家事は膨大に増えていた。さらに、再び校長に呼び出され、ジョナには違う学校へ行ってもらうと言われ、遂に感情が爆発し、校長を怒鳴りつけてしまう。帰宅したマーロは、もはや限界と夜間のベビーシッターを頼む。22時半に現れたタリー(マッケンジー・デイヴィス)と名乗る若い女性を見て、唖然とするマーロ。おへその見えるTシャツにジーンズのファッション、いきなりタメグチのイマドキの女の子だったのだ。だが、戸惑うマーロにタリーは、「私を頼って」と自信たっぷりに宣言し、2階でゆっくり眠るようにと促すのだった。


翌朝、目覚めると、タリーの姿はすでになく、代わりに8年間全く掃除していなかった1階のリビングとキッチンが、ピカピカになっていた。マーロは夫に、「彼女は何もかも完璧。なんだか、世界が明るくなった」と、久しぶりに晴れ晴れとした顔で微笑むのだった。それからというもの、タリーは“完璧”を更新し続ける。さらに、「人生の全部をケアしなきゃ」と、昔話や愚痴を聞いてくれ、悩みごとの相談にまで乗ってくれ、いつしか二人は友情を結んでゆく。だが、タリーは何があっても夜明け前に姿を消し、昼間は何をしているかなど、自分のことは一切語らないのだった――。


Index


D・コーディ脚本&J・ライトマン監督のコンビ第3弾



 1978年生まれのディアブロ・コーディは脚本家になる前、ストリッパー、ライターとして活動し、27歳で自伝本を出版するという稀有なキャリアを歩んできた。初めてシナリオを書いた『JUNO ジュノ』は、『サンキュー・スモーキング』で長編監督デビューしたジェイソン・ライトマンの2作目として2007年に公開。エレン・ペイジが16歳で妊娠してしまう高校生を演じたこのコミカルかつハートウォーミングな青春ドラマで、コーディはアカデミー賞脚本賞受賞という華々しいデビューを飾る。


 コーディとライトマン監督は、2011年の『ヤング≒アダルト』で再びタッグを組む。シャーリーズ・セロンが演じた主人公メイビスは37歳バツイチ、ヤングアダルト小説のゴーストライター。高校時代の元彼から届いたベビー誕生のメールを「彼がヨリを戻したがっている」合図だと勘違いし、故郷の町に戻って騒動を巻き起こす。


『ヤング≒アダルト』予告


 そして、コーディとライトマンにとって3度目のコンビ作となるのが、2018年8月日本公開の『タリーと私の秘密の時間』だ。主演は『 ヤング≒アダルト』に続きシャーリーズ・セロン。小学校に通う子供2人(2番目の息子は情緒不安定)に続き、3人目を出産したマーロは、育児と家事に追われて夜も眠れずダウン寸前。仕事優先の夫クレイグに頼ることもできず、兄に勧められた夜専門のベビーシッターを雇うことに。その夜から訪れるようになったタリー(マッケンジー・デイヴィス)は、若くてラフな服装とは裏腹に、働きぶりは「現代のメアリー・ポピンズ」のように完璧。マーロはタリーとのかかわりを通じて、次第に心のゆとりと明るさを取り戻すのだが――。



『タリーと私の秘密の時間』© 2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.


 コーディ脚本のこれら3作のヒロインはいずれも、人生の大きな転機を迎え、問題や壁に直面しながらも、困難を克服してまた前へと進んでいく。ジュノ、メイビス、マーロはみな個性的で、常識外れな言動もあるが、愛すべきパーソナリティーを備え、懸命に生きる姿が共感を呼ぶ。3作とも女性映画のジャンルに大別できるが、『タリーと私の秘密の時間』には前2作と一線を画す、意表を突く仕掛けがある。



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