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『ファントム・スレッド』PTAとダニエル・デイ=ルイスで作り上げたデザイナー、レイノルズ・ウッドコックとは
2018.11.08
『ファントム・スレッド』あらすじ
1950年代、ロンドン。英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズ。ある日、レイノルズはウェイトレスのアルマと出会い、彼女を新たなミューズに迎え入れる。彼はアルマの“完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず取り憑かれたようにドレスを作り続けた。しかし、アルマの気持ちを無視して無神経な態度を繰り返すレイノルズに不満を募らせたアルマは、ある日朝食に微量の毒を混ぜ込む…。やがてふたりは、後戻りできない禁断の愛の扉を開き、誰もが想像し得ない境地へと向かう。この愛のかたちは、歪んでいるのか?それとも純愛なのか ?華やかなオートクチュール(高級仕立服)の裏側で、映画史上もっとも甘美で狂おしい愛の心理戦がはじまる!
Index
ポール・トーマス・アンダーソンとダニエル・デイ=ルイス
ポール・トーマス・アンダーソン(以下、PTA)は、自身の8作目の長編『ファントム・スレッド』を、ダニエル・デイ=ルイスありきで発想したと語る。
脳性麻痺のため、左足で絵を描いた実在の画家、クリスティ・ブラウンを演じた『マイ・レフトフット』(1989)、鉱山労働者から石油王へと成りあがる男を演じた『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)、第16代アメリカ大統領、エイブラハム・リンカーンを演じた『リンカーン』(12)と、デイ=ルイスはこれまで三回もアカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞している。役作りに尋常ならざる時間をかけて準備をし、其れゆえに映画撮影後は魂が灰になるのか、何度も引退宣言をし、一時はイタリアで靴職人として暮らし、映画界から身を引いていた。
『リンカーン』予告
PTAは『ゼア・ウィル・ビーブラッド』でデイ=ルイスに演じさせた役が欲にまみれて最後は醜いモンスターと化す男だったことに気を留め、素の優雅なジェントルマンであるパーソナリティを生かした役柄を生み出さねばと思ったという。医者やアーティストなどいろいろ候補のある中で、デイ=ルイスの美しさを際立たせるために、PTAはファッションデザイナーという職業に目を付けた。そこで生まれたのが1950年代のロンドンでサロンを手掛けるレイノルズ・ウッドコックという男である。