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『ロスト・イン・トランスレーション』名匠たちに愛される「トーキョー / ニッポン」の魅力

『ロスト・イン・トランスレーション』名匠たちに愛される「トーキョー / ニッポン」の魅力


トーキョーで撮ることを選んだ監督たち



 それでも、あえて東京で撮影することを選ぶ外国人監督たちもいる。『TOKYO!』(08年)では、ミッシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノというアメリカ、フランス、韓国で映画を撮ってきた監督たちがそれぞれの視点で東京を切り取ると、まるで違った街に見えてしまう。彼らは東京で映画を撮ることの不自由さをまるで感じさせず、それぞれが捉えた東京=TOKYOを映し出す。ミッシェル・ゴンドリーは撮影中、「僕が撮りたいのは『ロスト・イン・トランスレーション』じゃないんだ。日本人のスタッフやキャストと一緒に作る日本の映画なんだ!」と言ったという。


 『LOVE 3D』(15年)をはじめ、新作を撮るたびに過激な表現が話題を呼ぶギャスパー・ノエ監督の『エンター・ザ・ボイド』(09年)では、歌舞伎町の雑居ビルに映画の舞台に相応しいアパートを見つけ、ドラック、臨死体験を交えてバッド・トリップするに相応しい極彩色の街として歌舞伎町を映している。


 どうやら、東京を最も刺激的に撮るのは日本映画でもハリウッド大作でもなく、小規模の外国映画なのかも知れない。しかし、監督のセンスだけで東京が魅力的に映るわけではない。『ロスト・イン・トランスレーション』の撮影監督はランス・アコード。CM、ミュージックビデオの撮影を経て、『バッファロー'66』(98年)で長編映画の撮影監督デビュー。以降も『マルコヴィッチの穴』(99年)、『かいじゅうたちのいるところ』(09年)など従来の映画技法に囚われない作品を多く手がけている。本作でも、刻々と変化する状況をドキュメンタリー的に切り取る柔軟さを持つ一方で、フォトグラファー時代のソフィアが撮っていたスナップ写真的な空気感も受け継いでいる。シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)が渋谷のスクランブル交差点でビニール傘を差して渡るシーンなど、周到に計算されて撮られたかと思うほど印象深いが、実は別のシーンの準備をしていると雨が降ってきたので急遽、ゲリラ撮影で撮られたものだという。時には乱暴に思えるような無造作に撮られたショットも混在しているが、それが作品の雰囲気と絶妙にマッチしている。ランスの撮影は東京の空気感、湿気も感じさせてくれる。



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