(C)2019 BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND MAGNOLIA MAE FILMS
レイフ・ファインズ監督作『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』を彩る3つの師弟関係
2019.05.21
アンソニー・ミンゲラが遺した“教え”
そんな矢先、とある海外メディアのインタビュー記事(*1)を見つけた。その中のほんの一部分でファインズはかつて『イングリッシュ・ペイシェント』(96)で自身をスターダムへと導いた、今は亡きアンソニー・ミンゲラ監督のことについて触れている。
ミンゲラ監督は常々、俳優たちに多くの時間を与え、彼らが自分の力で各々の役柄について「何を解き明かすのか」を重視していたそうだ。こうして登場人物があらゆる想像を超えて自由に飛翔する瞬間にこそ、表現することの醍醐味が詰まっていると考えていたのだろう。
そしてこのプロセスの重要性について教えてくれたミンゲラは、今なお“メンター”として立ち現れるのだとか。もちろんファインズにしか見えない形で。
『イングリッシュ・ペイシェント』予告
導く者がいて、導かれる者がいる。あるいは才能を育む環境があり、いつしかそこから巣立ちの時を迎えようとする者がいる。『ホワイト・クロウ』はバレエというモチーフや史実について扱いながらも、かくもあらゆる表現者にとって通過儀礼にも似た一瞬を、巧みに浮かび上がらせた映画と言えるのかもしれない。
参考URL
*1)SLANT
1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。
『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
2019年5月10日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネクイント、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
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※2019年5月記事掲載時の情報です。