2019.06.04
『イングリッシュ・ペイシェント』あらすじ
第二次次大戦末期のイタリア。砂漠の飛行機事故で全身に火傷を負い、記憶の大半を失って生死をさまよう男が野戦病院に運び込まれた。戦争で恋人も親友も亡くして絶望にかられていた看護婦のハナは、爆撃で廃墟と化した修道院で献身的な看護を続ける。男は断片的に甦る思い出をハナに聞かせ、次第に正体が明らかになる。情熱、陰謀、そして冒険の驚くべき物語。
Index
映画界に大きく貢献した名匠アンソニー・ミンゲラ
CINEMOREにて様々な名作やその裏話を紐解く中で、幾度、アンソニー・ミンゲラという名前を目にしただろう。たとえば、彼は『つぐない』(07)という映画で、ジョー・ライト監督にアドバイスを与え、自らインタビュアー役で出演を果たした。また、『ホワイト・クロウ』(19)を監督するレイフ・ファインズの意識内に幾度も現れ、悩める彼に道を指し示してくれたという。
ミンゲラが54歳という若さで急逝してからもう10年以上が経つ。上記の二人に限らず、今もなお彼のことを師や恩人として仰ぐ者は映画界に意外と多いようだ。
そんな彼の代表作が『イングリッシュ・ペイシェント』(96)である。アカデミー賞では『ファーゴ』(96)や『ザ・エージェント』(96)、『秘密と嘘』(96)といった秀作がせめぎ合う中、12部門にノミネートされ、圧倒的な強さで作品賞を含む9部門でオスカーを獲得。「映画界にミンゲラあり」と世界中にその存在を知らしめることとなった。
『イングリッシュ・ペイシェント』予告
ちなみに2016年のローマ国際映画祭では、本作の公開20周年を記念して特別上映が行われている。壇上ではレイフ・ファインズ、クリスティン・スコット・トーマス、ジュリエット・ビノシュらが口々に本作の思い出を語り、当時の彼らを導いてくれたミンゲラに感謝の言葉を捧げた。この恩師、この作品があったからこそ、今の彼らがある。それは揺るぎない事実だ。