ラストでの王女の台詞に真のメッセージが
ラスト近くに名場面がある。行方不明になっていた王女が記者会見の場に現れる。押しかけたプレスの1人から、「国家間の親善関係についての前途を、どうお考えでしょうか?」と尋ねられた王女は、毅然とこう答えるのだ。「私は国家間の友情を信じています。人と人との友情を信じるように」と。それが、ペック演じる新聞記者、ジョーへの惜別と、希望のメッセージであることは言うまでもない。同時にそれは、理不尽にもハリウッドを追われたダルトン・トランボの心からの願いでもあった。
珠玉のラブロマンスの裏側に隠された、友情と平和への祈り。『ローマの休日』がかくも長く愛される理由は、実はそこにあるような気がする。
文 : 清藤秀人(きよとう ひでと)
アパレル業界から映画ライターに転身。映画com、ぴあ、J.COMマガジン、Tokyo Walker、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"等に定期的にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社刊)等。現在、BS10 スターチャンネルの映画情報番組「映画をもっと。」で解説を担当。
※以下は、2019年6月記事掲載時の情報です。
BS10 スターチャンネル 特集「生誕90年特別企画 麗しのオードリー」
毎週土曜よる9:00~放送中
BS10 スターチャンネル7月特集「生誕90年特別企画 麗しのオードリー グランドフィナーレ オードリーよ、永遠に」(全20作品)
2019年7/6(土)~ 7/20(土)毎週土曜あさ 一挙放送/2019年7/22(月~7/26(金)&7/29(月)~7/31(水)あさ3作品づつ連日放送
※2019年7/24(水)、26(金)、29(月)、30(火)は2作品の放送となります。