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『スイス・アーミー・マン』スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリーに続け!MV出身、天才たちの系譜

(c)2016 Ironworks Productions, LLC.

『スイス・アーミー・マン』スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリーに続け!MV出身、天才たちの系譜

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“ケツの穴”に吸い込まれたのはどっちのダニエル?



 “ダニエルズ”もまた、自作の映像で恐るべきパフォーマンスの才能を発揮している。例えば彼らの代表的なミュージックビデオであるDJ Snake&Lil Johnの『Turn Down For What』で、股間を暴れ回らせながら踊りまくっているのは“ダニエルズ”の片割れ、ダニエル・クワンその人。ビデオにはDJ SnakeもLil Johnも登場しないので、完全に主演扱いだ。


DJ Snake, Lil Jon - Turn Down for What


 また“ダニエルズ”が2014年に手掛けた短編映画『Interesting Ball』は、ロサンゼルスの街を跳ね回るバスケットボールが、さまざまな人の日常に奇妙な現象を起こすシュールな群像劇。ありえないことばかり起こるのになぜか感動を覚えるのは『スイス・アーミー・マン』に似ている。


 いくつかあるエピソードの中でも最もブッ飛んでいるのが「親友が自分のケツにめり込んで消えていく」編。比喩でもなんでもない。本当に、ふとした拍子に相手のケツの穴に片足が刺さり、そのまま身体中が吸い込まれていくという狂った内容なのだ。そして、このケツ騒動で大熱演を披露しているのがダニエル・クランとダニエル・シャイナートなのだ。


 自分たちの作る世界観を、自分たちの身体で表現できてしまう。これはクリエイターにとって大きなアドバンテージだ。今はスパイク・ジョーンズと並べて語っているが、“ダニエルズ”がストーリーテリングや人物描写をさらに追及していけば、いつか“自作自演の王様”ウディ・アレンを引き合いにして語られる日が来るかも知れない。そんな夢想も、あながち夢想とは言えないのではないか。そんな可能性すら感じさせる“ダニエルズ”、恐るべしである。



文: 村山章

1971年生まれ。雑誌、新聞、映画サイトなどに記事を執筆。配信系作品のレビューサイト「ShortCuts」代表。



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公式サイト : http://sam-movie.jp/

(c)2016 Ironworks Productions, LLC.


※2017年10月記事掲載時の情報です。

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