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『ワイルドライフ』心を「想い」で染め上げる、ポール・ダノの初監督作

『ワイルドライフ』心を「想い」で染め上げる、ポール・ダノの初監督作

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個性派俳優ポール・ダノの初監督作にして堅実な名作



 父は消え、母は惑い、僕は佇む。

 一家の枠が崩れるとき、少年は両親も人間だと知る。

 成熟と終末が混在する、寂寥とした家族劇。


 ポール・ダノと聞いて、真っ先に思い浮かべる映画は何だろうか。『リトル・ミス・サンシャイン』(06)『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)『ルビー・スパークス』(12)『プリズナーズ』(13)『スイス・アーミー・マン』(16)……彼の出演作はどれ一つとして似通っておらず、共通点があるとすれば、すべてが面白いということだけだ。そのポールが、満を持して監督デビューを果たす。映画ファンは、どんな奇抜な作品が来るかと期待したことだろう。


 だが、彼が作り上げたのは、小さな小さな家族の話だった。壊れゆく家族と移ろいゆく心を淡々と見つめた、もの哀しく上品な一本。作品が纏う風格は、傑作ではなく「名作」の冠がふさわしい。



 「映画を撮るときは家族についての作品になると思っていた」というポールが原作に選んだのは、ピューリッツァー賞作家リチャード・フォードが1990年に発表した『WILDLIFE』。84年生まれのポールは、これまでの人生で何度もこの小説を読み返したという。


 幼少期の思い出とも密接に結びついた「人生の一冊」の映画化において、彼が声をかけたのは気心の知れたメンバーだ。本作では、『ルビー・スパークス』でポールと共演し、私生活でもパートナーの女優ゾーイ・カザンがポールと共同で脚本・製作を担当。さらに、『プリズナーズ』でポールと共演したジェイク・ギレンホールが出演しており、彼の製作会社ナイン・ストーリーズが関わっているほか、ジェイク自身も製作としてクレジットされている。




 また、音楽担当のデヴィッド・ラングはポールの出演作『グランドフィナーレ』(15)の劇伴も手掛けており、編集を務めたマシュー・ハンナムは『スイス・アーミー・マン』に続くポールとのタッグ。ゾーイと出演者のキャリー・マリガンは旧知の仲とのことで、スタッフ・キャストの大多数を「身内」で固めた印象だ。とはいえ、それでこのレベルのメンバーがそろってしまうのは、愛され個性派ポール・ダノの華々しいキャリアゆえだろう。


 『ワイルドライフ』では、彼が名だたるクリエイターたちとのコラボレーションで培ってきた「映画言語」が息吹を与えられ、画面の中で静かに躍動している。



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