ただのギャグではない、ひねりを効かせたコメディ映画に定評のあるウディ・アレン。彼は毎年のように映画を世に送り出し続けている。そんな彼の主な出演映画22作品を、年代順に見ていこう。それは同時に、彼の軌跡を辿る旅でもある。ウディ・アレン出演映画を順に味わいながら、彼が何を想い、何を表現したかったのか、想像をめぐらすのも楽しいことだろう。
Index
- ウディ・アレンのバナナ
- ボギー!俺も男だ
- ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう
- スリーパー
- ウディ・アレンの愛と死
- ウディ・アレンのザ・フロント
- アニー・ホール
- マンハッタン
1960年代のウディ・アレン出演映画
ウディ・アレンが映画に初出演したのは1965年。最初は脚本と出演だけだったが、2作目からは早くも監督を兼任するようになる。では彼のデビュー当時の作品から見ていこう。
『何かいいことないか子猫チャン』(65) 監督:クライヴ・ドナー 110分
1965年公開。ウディ・アレンの初出演映画であると同時に、脚本を担当した初めての映画でもある。ピーター・オトゥールがプレイボーイを演ずるこの映画は、抱腹絶倒のドタバタコメディとして知られている。ウディ・アレンの役はストリップ・クラブの衣装係だ。ピーター・オトゥールやピーター・セラーズら主演級の演技とともに、ウディ・アレンが手掛けた脚本も見どころの1つである。
『どうしたんだい、タイガー・リリー?』(66) 監督:クライヴ・ドナー 80分
ウディ・アレンの初監督作品。また、前作と同様に脚本と出演も兼ねている。この映画は東宝の『国際秘密警察シリーズ』3作目と4作目を元ネタとしており、本来はアクション映画であったものを、ウディ・アレンが風刺を効かせたギャグ映画に作り替えたのだ。当時大流行していたスパイ映画をウディ・アレンがパロディとしてどう料理したのか、興味の尽きない作品である。
『007 カジノロワイヤル』(67) 監督:ジョン・ヒューストン、ヴァル・ゲスト、ケン・ヒューズ、ジョセフ・マクグラス、ロバート・パリッシュ 137分
イギリスとアメリカ合作のスパイコメディ映画。ジョン・ヒューストンら複数の映画関係者が監督した作品であり、ピーター・セラーズやデヴィッド・ニーヴンなどといったオールスターキャストも見どころの1つ。原作は007シリーズで知られるイアン・フレミングだ。この映画でウディ・アレンは、ジミー・ボンドという役で出演を果たしている。アヴァンギャルドなパロディ映画として有名な本作、彼の演技にも注目したい。
『泥棒野郎』(69) 監督:ウディ・アレン 145分
ウディ・アレンはこの映画で、監督と脚本と出演を兼ねている。なお脚本は、ミッキー・ローズとの共同作業だ。主人公のバジール役をウディ・アレン、ヒロインのルイーズ役をジャネット・マーゴリンが担当している。この映画の見どころは、ドキュメンタリー風な演出。およそ泥棒には向いていない主人公が、どのようにして犯罪で有名になったのかを、ドキュメンタリータッチでコミカルに描き出している。ウディ・アレンの演技とともに、演出の妙にも目を向けたい。