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林遣都出演のおすすめ映画10選!完成された演技と未成熟な“少年性”のギャップの非凡さ

林遣都出演のおすすめ映画10選!完成された演技と未成熟な“少年性”のギャップの非凡さ

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林遣都出演のおすすめ映画(2016~2017)





7.『火花』(16)


日本でのサービスを開始したNetflixが、サービス開始の目玉に位置付けたオリジナルシリーズ。厳密に言えば「映画」ではないが、番外編として紹介したい。本作で主演を務めた林の「憑依演技」は、群を抜いて輝いている。


お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹が芥川賞を受賞した小説を、廣木隆一、白石和彌、沖田修一ら実力派の監督たちによって映像化。芸人としての成功を夢見る青年たちが経験する栄枯盛衰を、エモーショナルに描いていく。


林演じる若手芸人が、我が道を行くタイプのエキセントリックな先輩芸人(波岡一喜)に傾倒。自分も「笑いの哲学」を見つけ、のし上がろうとシャカリキになって取り組んでいく。しかし、浮き沈みの激しい世界でふたりは翻弄されていき……。


爽やかさを封印し、生活臭を体全体から漂わせたリアルな佇まいは、林の進化を存分に感じさせる出色の出来。最終話では、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、観客の前で一世一代の漫才を繰り広げる渾身のシーンも用意されている。




8.『花芯』(16)


女のむき出しの性(さが)を描き続けている瀬戸内寂聴の小説を、におい立つような生々しさで描き出した文芸ドラマ。真実の愛に出会えないまま許嫁との結婚を選んだヒロインが、ある男との出会いから抑圧していた性の欲望を解放させていく。


ヒロインの夫に扮した林は、劇中で幾度となく激しいセックスシーンに挑んでおり、その時々で違った感情を「乗せる」という難行をこなしている。慈愛、疑念、憎悪、屈折……。妻への想いがそのまま行為に現れているのだ。妻の不貞を知った際には、怒りで壁を破壊するというシーンもあり、彼のキャリアの中でも、かつてない役どころの1つといえるだろう。


妻から愛を向けられていないと知りながらも献身的に尽くし、しかし依存度や執着心が強まっていくという夫の哀しい宿命も、物語の重要なキー。林の熱演が、作品の奥深さに直結している。


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9.『にがくてあまい』(16)


野菜嫌いのOLが、ひょんなことからベジタリアンでゲイの教師と同棲することになるハートフルコメディ。林は、女性が見とれるほどの美男子で、口は悪いが思いやりが深く、料理の腕はプロ級というハイスペックなキャラクターを美しい所作で表現している。


実家を飛び出し、広告会社で日々奮闘するOL(川口春奈)。バーで酔いつぶれてしまった彼女は、介抱してくれた教師(林)を強引に説き伏せ、彼の家に転がり込む。元々は「彼氏ができた」と同僚に見栄を張りたいだけの関係だったが、野菜嫌いを克服させてしまいうほどの教師の料理の腕と、ひねくれた優しさにほれ込み、絆が深まっていく。


冷製茶わん蒸しやスープ、トマトのお弁当など、野菜を使った多彩な料理が楽しめる本作だが、林のプロ顔負けの包丁さばきや、タイトなシャツの着こなし、上半身裸の風呂上がりシーンも、目を楽しませてくれる。


なお、2015年からはドラマ・映画で『HiGH&LOW』シリーズが始まり、2016年には波瑠主演の犯罪ドラマ『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』で、正義と悪の狭間で揺れるプロファイラーを演じた。Netflixオリジナルシリーズ『火花』も含めて、この時期は林のキャリアが大きく飛躍したといえる。


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10.『しゃぼん玉』(17)


市原悦子の遺作となったヒューマンドラマ。通り魔やひったくりを起こして逃亡中の青年が、山村でおおらかな老婆と暮らすうち、心のとげが消えていく。のどかな風景描写と、市原と林の掛け合いに癒される秀作だ。


逃亡中、山村でけがを負った老婆(市原)に助けを求められた青年(林)。彼は、素性を隠して老婆と暮らすことになり、「必要とされる」生活の中で人間らしい真心を取り戻していく。


林はボサボサのヘアスタイルと無精ひげ、伏し目がちの卑屈な表情で、世間からつまはじきにされ、犯罪者にまで身をやつした男の孤独を体現。自らが犯した罪の重さに耐えきれなくなり、それでも償おうと老婆に涙ながらに真実を告げるシーンが、涙を誘う。


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2018年には『おっさんずラブ』の大ヒットがあり、これまで以上に人気を獲得した林。2020年には、佐藤健の主演作『護られなかった者たちへ』が控えており、2021年には小松菜奈との共演作『恋する寄生虫』が予定されている。どちらの作品も、大いに話題となるはずだ。


デビュー作から安定してキャリアを築いてきた林に、「ブレイク」という言葉は似つかわしくないだろう。日に日に影響力が増しても、ずっと変わらない。ただただ真摯に、1つひとつの役と向き合い、演じ続ける。それこそが、林遣都の非凡さを表しているのかもしれない。




文: SYO
1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「シネマカフェ」「BRUTUS」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema

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