神木隆之介出演のおすすめ映画(2016)
6.『太陽』(16) 監督:入江悠 129分
『SR サイタマノラッパー』(09)で注目され、のちにヒット作『22年目の告白 私が殺人犯です』(17)を手掛ける入江悠監督が、映画『散歩する侵略者』(17)の原作を手掛けた劇団・イキウメの劇作家、前川知大の同名舞台の映画化に挑んだ野心作。神木のフィルモグラフィの中でも、異彩を放つダークファンタジーだ。
未知のウイルスが蔓延した、架空の日本。人類は、ウイルスを克服したものの、太陽の下では生きられない新人類「ノクス」と、ノクスに管理される旧人類「キュリオ」に分かれていた。寒村に暮らし、ノクスに憧れるキュリオの青年(神木)は、村にやってきたノクスの青年(古川雄輝)と友情をはぐくむのだが……。
独特の世界観をあえて作りこまずに映し出した本作では、ファンタジーの世界観を表すために役者陣の高い演技が必要不可欠。神木は、純粋がゆえに壊れやすい主人公を痛々しいまでにビビッドに演じ、新たな引出しを見せつける。髪はボサボサで顔は泥だらけというビジュアルも珍しく、ワンカットで展開する衝撃的なシーンでの神木の鬼気迫る熱演は、衝撃的だ。
7.『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16) 監督:宮藤官九郎 125分
どんなジャンルでも活躍できるオールラウンダーな神木の、コメディセンスが凝縮された1本。宮藤官九郎が監督・脚本を務めた本作では、最愛の人に想いを告げられぬまま事故死した高校生をイケイケで演じている。
修学旅行中のバスで事故にあい、地獄に落ちてしまった17歳の高校生(神木)。彼の前に現れたのは、ロックバンドのギター&ボーカルも務める地獄の鬼(長瀬智也)だった。高校生は、「恋する相手に再会するため」輪廻転生を目指し、地獄の猛特訓に励む。
全身真っ赤でザンバラ髪の「鬼メイク」を施した長瀬を中心とした強烈な面々の中で、神木はツッコミ役として君臨。共演陣の体を張ったボケを一瞬で切り捨てるやり取りが、笑いを誘う。
なお、神木の「ボケ」の部分のユーモアセンスは、auのCMシリーズなどでも確認できる。『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』との比較も、一興だ。
8.『君の名は。』(16) 監督:新海誠 107分
神木は、声優としても引っ張りだこ。『千と千尋の神隠し』(01)で宮崎駿監督(本作以外にも、ジブリ作品の声の出演は多数)、『サマーウォーズ』(09)で細田守監督と組むなど、日本を代表するクリエイターたちの作品に参加してきたが、最も日本全土の記憶に残っているのが、新海誠監督による歴史的ヒット作『君の名は。』で演じた主人公だろう。
東京の男子高校生と、飛騨の山奥の女子高生が入れ替わったことで巻き起こる騒動と冒険を描いた青春ファンタジー。新海監督の得意技である、究極的なまでに写実的な美しい風景描写、和歌や伝承といった日本の伝統文化を織り込んだ風流な世界観、サプライズが仕掛けられた秀逸な脚本など、多彩な見どころが内包された傑作だ。
ヒロイン役の上白石萌音との相性も抜群で、2人の身体性を伴った声の演技が、切ないラブストーリーを一層引き立てている。なお、神木は新海監督の『天気の子』(19)でも、同役で登場している。
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