窪田正孝出演のおすすめ映画(2016-2018)
6.『64 ロクヨン』(16) 監督:瀬々敬久 121分/119分
「半落ち」や「クライマーズ・ハイ」など、映画化も数多いミステリー作家・横山秀夫のベストセラー小説を、佐藤浩市主演で映画化。2部作にわたって、未解決の少女誘拐殺人事件の顛末を描く。
7日間で終わった昭和64年の間に起きた、少女誘拐殺人事件。未解決のまま時効が1年に迫ったタイミングで、県警の広報官(佐藤)は再び、事件と向き合うことになる。さらに、かつての事件と酷似した誘拐事件が発生。県警内部に、一気に緊張が走る――。
県警と記者クラブの確執や警察内部の溝を中心に、捜査員・報道陣・被害者といった立場の異なるキャラクターたちの懊悩や信念が、濃密に絡み合う。前・後編を通して緊迫感が途切れない、怒涛のサスペンス展開にも注目していただきたい。
佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、緒形直人、吉岡秀隆、永山瑛太、永瀬正敏、三浦友和といった一流キャストが、感情を爆発させる・或いは押し殺して慟哭するシーンが強い印象を残すが、捜査員の1人に扮した窪田の熱演も、出色の出来。誘拐殺人事件の責任を背負いこみ、引きこもり状態になってしまった科捜研の研究員、その14年分の人生を全身全霊で演じ切っている。
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7.『東京喰種トーキョーグール』(17) 監督: 萩原健太郎 119分
窪田の代表作の1つ。人肉を主食とする「喰種」をテーマにした人気マンガの映画化作で、主役を務めた。読書好きで大人しい性格の大学生が、事故にあい、喰種の臓器を移植されたことで人間と喰種が混じった異端の存在となり、苛烈な縄張り争いや、人間との死闘に巻き込まれていく。
本作での窪田の真骨頂は、“変異”する強烈な演技にあるだろう。自分が人でないものに変容していく恐怖と、胎動する能力。混乱する心と、生まれ変わる身体の2極を、ここまで身体性をもって見せつけられてしまうと、役の虚構性は限りなく薄くなる。つまり、純然たるファンタジーでありながら、窪田が提示する「説得力」が半端ではない。役者の底力を思い知らされた気分だ。
喰種の能力を得た結果、人間の食事を受け付けなくなり、冷蔵庫の中にあるものを食べては吐き出し、吐瀉物の中で気を失うシーン、血を求めて繁華街をうろつくシーン、痛みが全身に走るような悲痛な絶叫、やがて運命を受け入れて戦いに身を投じる際の精悍な表情など、主役としての存在感にも、目を見張る。
2019年には、続編となる『東京喰種トーキョーグール 【S】』が公開された。
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8.『犬猿』(18) 監督:吉田恵輔 103分
『さんかく』(10)、『ヒメアノ~ル』(16)など衝撃作を放ってきた吉田恵輔監督が、脚本も手掛けたオリジナル作。兄弟と姉妹の間に横たわる複雑な愛憎関係を、シニカルな目線で描いたヒューマンコメディだ。
新井浩文と窪田が兄弟、お笑いコンビ「ニッチェ」の江上敬子と筧美和子が姉妹を演じ、正反対の性格でそりが合わないが、心の奥底では大切に思っている、というアンビバレントな関係性を人間くさく表現。「言葉で刺す」吉田監督ならではの攻撃的なセリフも秀逸だ。
「自分は馬鹿にするが、他の人に馬鹿にされると機嫌が悪くなる」「いつも対抗意識を持ってしまう」「離れよう、嫌おうとしても結局できない」といった“兄弟・姉妹あるある”がちりばめられており、「ののしりあっているのに愛おしさが漂う」という新機軸の家族映画の側面も感じられる。優等生的だった弟が、粗暴な兄に耐えかねて「頼むから消えてくれよ!」とわめく場面は、「溜めて放つ」窪田の演技が凝縮された名シーンだ。
なお、2018年はヒット作の続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』(18)で悪役に挑戦し、『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』(18)でアニメ声優も経験した。この時期のドラマは、『僕たちがやりました』(17)や『ヒモメン』(18)、熱狂的な人気を獲得した『アンナチュラル』(18)など。