スマホの画面はつまらない
Q:デビュー作から「青春映画」のイメージが強い古厩作品ですが、登場人物の年齢と監督ご自身の年齢がだいぶ離れてきたかと思います。「青春映画」を撮る上で変わってきたことなどはありますか。
古厩:自分に子供もいるので、どこか親みたいな目線は入ってきていますね。若い子たちに、大丈夫だよって言いたくなっちゃいます。昔はそういうことは全然なかったのですが、もう年も年なので、そうなってしかるべきかなって気もしています。
Q:私も親の世代なので、その優しい目線は何となく分かった気がします。一方で、高校生たちにも共感できるものになっているかと思いますが、その辺はどう意識されているのでしょうか。
古厩:どんな曲を聞いていて、どんな服が好きとか、流行はよくわからないので、そんなものはいいんです。ただ、若い子にしか分からない、ニュアンスや人との距離感みたいなものを、出演者の子たちが表現してくれたときは、なるべくそれを抑え込まないようにはしてますね。
Q:親が出てこないですよね。この映画。
古厩:出ません。
Q:あとスマホも出てこない。
古厩:スマホね。一番最初の教室シーンで、伊藤健太郎さん演じる近藤がいじってるくらいですね。
Q:話を運ぶ上でのツールとしては、スマホは全然使われてないですよね。
古厩:うんまあ、必要があればやったと思うんですけど、ずっと学校の中で話が進みますからね。家がまず出てこないから。メールを使う必要がなかった。でも最近映画を撮る時って必ずって言っていいほど、LINEの画面を作るんですよ。この映画では久々にそれがなくて良かったですね。
スマホの画面が映っている時って、あんまり面白くないですよね。そのシーンは情報の提供でしかなくて、その時に何も劇は進行していないんです。無いとすっきりしましたね。
Q:クラスの男の子がアイドルの動画を見ているシーンで、近藤に向かって「一生懸命見てるんだよ!」って放つ言葉が印象的でした。何か熱中しているものがあるというのが伝わってきて、個人的には好きなシーンでした。
古厩:それは初めて言われました。実は僕もあいつは気に入っているんですよ。あいつはあいつなりに頑張ってるんです。