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何を撮っても自分ぽくなってしまうのですが、それでいいかなと思ってます。『のぼる小寺さん』古厩智之監督【Director’s Interview Vol.65】

何を撮っても自分ぽくなってしまうのですが、それでいいかなと思ってます。『のぼる小寺さん』古厩智之監督【Director’s Interview Vol.65】

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何を撮っても自分ぽくなる



Q:どうしてもお伺いしたかったのですが、伊藤さん演じる近藤が、同じ部員からの握手に対して、受け入れつつも手を握らないのが意外でした。なぜあのリアクションだったのでしょうか。


古厩:あれは、今の日本の最大の敵、同調圧力に対する抵抗ですね(笑)。あのシーンだと、「わかったわかった」って握手するのが普通だと思います。でもそれが何か気持ち悪くて嫌だったんです。あそこで拒否するのって難しいと思うんですよね。でもあえてそうしたのが、近藤の自我の芽生えであり、成長でもあるんです。


Q:『この窓は君のもの』も夏の映画でしたが、今回も季節は夏で、夏のモチーフもとてもうまく使われています。夏に対して思い入れみたいなものはあるのでしょうか。


古厩:夏は超好きなんです。僕は長野県出身なんですけど、長野県って夏休みが15日しかないんですよ。8月1日からお盆までの間だけ。だから夏休みって貴重なんです。撮影中は「あー夏だー!」って走り回りたい気持ちでしたけどね。夏、大好きです。




Q:古厩監督も、かなりベテランの域に入られているかと思いますが、年齢を重ねるにつれて、映画制作への向き合い方など、監督ご自身の中で何か変わってきたものはありますか。


古厩:実はよく分からないです(笑)。自主制作で撮ってK's cinemaで流すぞ!みたいな、彼らにあるような初期衝動みたいものは、自分にはもう全然ないので、そういうのはうらやましいですよね。映画ってそういうもんだよなって、すごく思います。じゃあ僕らベテランはどうしましょうね(笑)。難しいですよね。


Q:今後はどういった映画を撮っていかれたいですか。


古厩:そうですよね。これも困っちゃいますよね(笑)。こういう青春ものはちょっとやめようかなって思った時期もあったのですが、今はこれで全然いいなって思ってますね。自分は何を撮ってもこうなっちゃうし。来年くらいには大人のサスペンスものをやりたいなと思ってますが、それを撮ったとしても、やっぱり自分ぽくなっちゃうと思うんですよね。だから無理しないでいくのがいいかなって思ってます。



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監督:古厩智之

1968年生まれ、長野県出身。大学在学中に撮った『灼熱のドッジボール』(92)が1992年ぴあフィルムフェスティバルでグランプリ受賞を果たし、『この窓は君のもの』(95)で長編デビュー。同作で第35回日本映画監督協会新人賞を受賞、史上最年少受賞となる。次作『ロボコン』(03)では日本アカデミー賞脚本賞にノミネートされるなど、高評価を得た。その他監督作に、『ホームレス中学生』(08)、『武士道シックスティーン』(10)、『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』(13)、『無花果の森』(14)、『キリング・カリキュラム 人狼処刑ゲーム 序章』(15)、『サクらんぼの恋』(18)など。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。






『のぼる小寺さん』

(c)2020「のぼる小寺さん」製作委員会  (c)珈琲/講談社

2020年7月3日(金)、新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー!

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