それぞれの監督が自由に各パートを作り上げる
Q:竹中監督は、少年と父の奇妙な思い出を描いた「父」という話を担当されていますが、やはりこの話が一番映画化したかったのでしょうか。
竹中:はい!地面にガラスがザクザクザクって刺さる画に感動してしまって…。白い幽霊と父と子の関係も最高だった。《秘密》と《アルバイト》のエピソードも撮らせていただきました!うおー!!あっ、失礼…。
Q:山田監督の「Winter Love」、齊藤監督「伴くん」の2本はどのように決まったんですか?
竹中:原作の短編から、どの物語を選ぶかは2人の監督にお任せしました。
Q:大橋先生としては、「ゾッキA」「ゾッキB」から今回のエピソードが選ばれたのはいかがですか?
大橋:まあ、どの作品を選ばれても嬉しかったと思うんですけど、2冊の短編集の中には、映画にできそうな作品が他にあまりないかもしれないですね。自費出版をやりだした時期に描いていた作品なので、映画化されるなんてことはもちろん考えもしませんでしたし。
『ゾッキ』原作:大橋裕之
竹中:綿密な打ち合わせは照れ臭いのでしていません。誰がどの短編を監督するかを決めたら、あとは各々が倉持さんと連絡を取り合って脚本を作っていきました。
ただ、1番怖かったのは、みんなの担当したパートをただ繋げた荒編集の初回試写の時でした。3監督とも自分が担当した部分は観ていますが、3つのストーリーが全部つながったのは初めて観る形だったのでものすごく緊張しました。全て観終わった時は面白いのかどうなのかさっぱり分からなかったです。でも、ぼくはずっとそうだったと思います。自分が初めて映画を撮った時も、荒編集を見て「これって面白いのかっ?!つまらないのか?!どっちなんだ?!」って(笑)
Q:そこから一本の映画にしあげていく作業は、竹中監督が?
竹中:いや、みんなそれぞれ意見を出し合いながら仕上げて行きました。
Q:その話をお聞きすると、すごいですね。見事につながっていました。
竹中:はい。切るところはどんどん切っていって、効果音も入り、音楽も入って、とてもいい具合につながったと思います。
Q:竹中監督が初めて他の2人の監督のパートを見た時はいかがでしたか?
竹中:「すごいなー」って思いました。嫉妬もしましたよ。俳優たちが孝之や工を信頼してることがとても豊かに伝わってきましたからね。でも一番嫉妬したのは、工が大橋さんを役者として登場させている事です!「俺もやりたかった!ふざけんなーって(笑)」