メジャー映画にインディペンデント精神を持ち込め! 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜 イベントレポート Vol.1(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.19】
これまで、映画の作り方について特集してきた「CINEMORE ACADEMY」がオンラインイベント化。実際にメジャー映画を撮りながらも自身の作家性を貫いて来た映画監督たちをゲストに迎え、その創作の秘密に迫ります!
6/30(水)に実施されたオンラインイベントを記事化しました。全3回に渡りお届けします。まずは第1回目から!
全国で一斉に公開される規模のメジャー映画ともなれば、製作予算が大きくなる一方で、資金回収もよりシビアになり、プロデューサーや出資者などから様々な意見が入ってくるのが常。そんな状況で監督たちは、いかに自身のビジョンを具現化し、ヒットにつながる面白い映画を作るのか?
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【ゲスト】内田英治 / 藤井道人 / 本広克行 / 行定勲 50音順/敬称略
【MC】映画ライターSYO / CINEMORE編集長 香田史生 敬称略
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Index
公開規模の壁
香田:本日は「映画はこうして作られる〜メジャー映画と作家性〜」というテーマでお話を伺えればと思いますが、まず、この場における”メジャー映画”の認識としては、全国のシネコン等で一斉に公開されるような規模の作品ということで、一旦定義させていただきます。
この数年でインディーズから駆け上がってきた内田監督と藤井監督、これまでメジャーの第一線で引っ張ってきた本広監督と行定監督と、皆さんそれぞれから面白いお話をお聞きできればと思います。それではまず1つ目であるお題「メジャー映画とインディペンデント映画の違いとは?」について、皆さんのご意見をお聞かせください。
内田:メジャー映画と言っても、世界から見たら日本のメジャー映画は、予算規模的にはメジャーではなくインディペンデント映画です。そういう意味もあって、インディペンデントもメジャーも気持ちの上ではあまり違いはないですね。
ただ、日本映画はドカンと全国一斉に公開しないとお客さんが入らない。インディペンデントが単館系で少しずつ公開を増やすのは実際にはハードルが高く、壁がある。そこをどう埋めていくのか、皆で話し合って考える必要があるのかもしれません。壁がないのが望ましいと思いますが、実際には真ん中に立っている壁が高すぎる。
インディペンデント映画では、いきなり350館では公開されないわけで。300館や200館で公開されないと映画はお金にならないという現状が日本にはあるわけで、そこをどうしていくかですね。
香田:内田監督は昨年『ミッドナイトスワン』が大ヒットしましたが、監督自身を巡る環境も変わったと思います。その辺りは肌で実感されたのではないでしょうか。
内田:そうですね。私がこれまで撮ってきた映画は、10館とか20館でスタートしていたのですが、『ミッドナイトスワン』は確か150館からのスタートだったので、最初聞いた時は、「えー!多いな!」と思いましたよ。
日本の今のシステムだと初週や最初の2-3日でその後の興行が決まってしまう部分がある。そうすると、大きく公開できる映画にどうしても力がいきがちになりますよね。単館で観るような、ワンポイントを突いているような作品はどんどん除外されていく現状はあると思います。