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日本映画が生き残るためには 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜イベントレポート Vol.3(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.21】

日本映画が生き残るためには 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜イベントレポート Vol.3(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.21】

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オンライン化する映画製作



香田:内田さんも、このコロナ禍で結構撮影されていますよね。


内田:コロナ禍のため、『ミッドナイトスワン』は、ラストシーンを残して撮影が4ヶ月中断しました。あれは本当になんとも言えない気分ですよね。僕は海外で撮るような作品をやりたいのですが、そういった企画も全部止まっているし、それが辛いですね。日本国内もそうですが、いつになったら海外で自由に撮影出来るのかと思うと、ちょっと苦しくなっちゃいますね。


香田:年代的な違いでの映画作りはどうでしょうか。実際に90〜00年代から現在と、映画製作の現場はどう変わりましたか。


本広:やっていることはずっと昔から変わらないですね。カメラが良くなったり機材が進化したくらいかな。僕は『ブレイブ -群青戦記-』という作品が、コロナ前ギリギリで撮影が終わっていたので、後処理(ポスプロ作業)がコロナ禍のタイミングとなりました。コロナで色んなことが止まって時間が出来たから、逆にCGにかなり時間をかけることができた。CGシーンにめちゃくちゃ磨きがかかってすごくクオリティが高くなったりしましたね。


また、脚本や企画の打合せが全部オンラインになりました。昔は都度出向いていって「よく分からない打合せだったな…」みたいなことも多かったのですが、オンラインだったらすぐに終わる。どんどん数も重ねられるので、昔より脚本の打合せは楽になったかな。昔は、紙でコピーする作業などにも結構時間を取られていたのですが、そういうのも今はみんなデジタルになったので、ずいぶん効率的になりましたね。


昔からそうしたかったのですが、実際に会ってやらないとダメですって言われてました。意味がないなぁと思っていましたが、今は僕が思っていたようになって嬉しいですね。次の撮影をする時は、監督はオンラインで家にいて、皆で自由に撮影して相談事があったらオンラインで話すというのはどうでしょう。なんて冗談を言っています(笑)。


一方で、舞台だとそうはいかなくて、1人がコロナになったただけで全部ふっ飛んでしまうんです。飲み会に行ってはダメだったり、主役級の人たちは帰る時に電車の手すりすら持たないようにして、なんとか乗りきろうとしています。本当にえらい被害を被っていますね。今はとにかく我慢するしかないんだと。


香田:行定さんはいかがでしょうか。


行定:僕は舞台もやるのですが、リモートは得意じゃないですね。舞台では、日本で演出する予定だった海外の演出家が来日できなくなって、リモートで演出したりしています。渡航できないのは一番きついですよね。


僕自身も、台湾や韓国、フランスから女優さんをお呼びしてやる企画が今年から再来年にかけて決まっていたのですが、それも全部なくなりました。海外からお呼び出来ない、こちらも行けない。だけどシナリオはほとんど出来ている。この間にシナリオをブラッシュアップすることは出来るけど、このシナリオの撮影は実際にいつ出来るんだろう。という状態です。


日本映画に何か新しいものを吹き込むとしたら、海外の人たちの才能と日本の才能がぶつかって映画を作る、それが一つの活路である気がするんですよね。そこをなんとか出来ないかと思っていた矢先にコロナですから。僕は当面撮らないですね。次はどういう形で出来るのかを考えて、準備していくしかない。


香田:延期か中止かというのは、どのように判断されているのですか。


内田:中止は最近あまり聞かなくなってきましたけど、基本的には映画会社だけじゃなくて、スポンサーになっている会社も含めての判断になるので、もはや現場だけの判断ではないですね。本当にストレスですよね、皆で怯えながら撮っているわけですから。


SYO:平時に戻った時も、ポジティブな効率化の面は継続していけたら、より良くなっていくのでしょうね。


また、このコロナ禍で全世界で同じ痛みを共有したことになるので、そうなると作品が越境していくという可能性があるのかなと思います。ある意味、共通体験が生まれているわけですから。



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