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日本映画が生き残るためには 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜イベントレポート Vol.3(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.21】

日本映画が生き残るためには 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜イベントレポート Vol.3(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.21】

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日本映画が生き残るためには



香田:最後のお題です。今後日本の映画製作はどうなっていくのか? どうすれば将来的に良くなっていくのかをお伺いしたいと思います。


内田:日本映画は、もはや国内需要だけではやっていけない状況にあるわけですから、外に出ていかざるを得ない。この答えは10年くらい前からすでに出ています。


先ほど行定さんもおっしゃっていましたが、今後の映画製作については、個々が自分の得意な部分で、海外と一緒にやったり、日本映画を海外で撮るような形になると思います。向こうの役者と日本の役者をミックスさせたり、向こうの監督と交流したり。最終的には日本の映画を日本以外でも売れるようにする必要がある。日本で50万人、韓国で10万人、台湾で5万人、中国で20万人観てもらうという方向に向かわないといけない。そう考えると、答えは出ていると思いますけどね。日本映画をどうにかしようというレベルじゃない、今は実際に産業として成り立っていないわけですから。


藤井くんもよく台湾でやったりしているし、行定さんも中国をはじめアジアに強い。個々でやっていてもどこかで繋がる。それでも結果が出るのは50年後だと思います。今結果が出ている韓国だって、改革を始めたのは30年前ですから。その時、僕らはもう誰もいないと思いますが、50歳下の若い世代はもしかして育ってくれているかな、というのが僕の意見です。


行定:50年後はもうそういうシステムすらないよ。


内田:全部配信になってるかな?


行定:もう全部そうなっていかざるを得ない。映画館で映画を観るという観点で、どこまで踏ん張れるかですよ。コロナ禍において色んな経験をしましたけど、映画館で映画を観れるということが、非常に特別なことであるという意識がかなり強くなりました。これからどれくらいの時間、僕らが踏ん張ってやっていけるのか?それが重要でしょうね。


そういう意味では、日本映画界がどうのこうのではなく、世界中の作家や映画監督達がどういう映画を自分で確立できるか、そしてそれを映画館で上映出来るかどうかを、考えていく時代に突入したんです。


僕は『真夜中の五分前』(14)という作品を作った時に、日本では企画が総スカンをくらったんですよ。しょうがなく海外でやろうと思い、中国用に脚本を書き換えて作った。その時と今は同じ気持ちですね。それでも映画を作り続けるのか、そのパワーが自分たちにあるのかという事が問われているのだと思います。


内田:行定さんが言ったことは僕も感じています。確かに、いずれなくなるであろう映画館文化を、どこまで引っ張れるかにかかっているのは間違いない。これは、他の監督に聞きたいのですが、もし映画館がなくなって配信ドラマとかしかない状況になったら、果たして自分は撮るのだろうかということ。 僕はやっぱり劇場映画以外に興味がないから、やりたくないし多分やらない。他の皆さんはどうなんでしょうか。


本広:僕は映画館での鑑賞がなくなるとは思っていないんですよ。やっぱり小屋の中で、大音量で音圧を感じて観る映画っていいじゃないですか。シェイクスピアや歌舞伎ってずっと残っているし、多分映画館も残るんじゃないかと思う。


そう考えた時に、残すために何をするのか、それには仕組みが必要だろうと思っています。お客さんがみんなでこぞって売るような仕組み、分かりやすくいうとクラウドファンディングの変化球型みたいなものですかね。あとは、観たい話をお客さんから募っていったりとか…。ただ、そこまで行くにはまだまだ時間がかかるので、例えばメイキングを有料で配信したりして、一緒に作っていく感覚をファンにも持ってもらう。とにかくその映画のファンを作っていくことが重要でしょうね。


最近ファスト映画が問題になりましたが、でも実際に見ていた方は多分いっぱいいたんですよね。もちろん著作権的には許されないのですが、例えば映画に付随するコンテンツは配信などで全て見せて、そこから映画館にうまく誘導するなど、色んな方法で稼いで次の作品につなげていけないかなと、いろいろ妄想しています。


SYO:コロナ禍になった直後、とある俳優さんにインタビューした時「映画って今贅沢品ですよね」と言われて僕はショックでした。時間を合わせてお金を払って小屋で観るということが、特別なことになってしまっている。香田さんはどうですか。


香田:もちろん映画が好きなので、時間とお金をつくって映画館に行くことに全く躊躇はありません。でもコロナ禍になって、映画館に行きたくても行けない状況になったわけです。これは初めての経験でしたし、このままだと本当に映画館で観れなくなってしまうのでは?という危機感も感じました。


今はとにかく映画館に足を運んで、映画館がなくなるかもしれないという、空気すら出さないようにしなければと思っています。




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