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『モロッコ、彼女たちの朝』マリヤム・トゥザニ監督 求めたのは、親密な二人の女性の肖像画のような映画【Director’s Interview Vol.132】

©️ Ali n' Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions

『モロッコ、彼女たちの朝』マリヤム・トゥザニ監督 求めたのは、親密な二人の女性の肖像画のような映画【Director’s Interview Vol.132】

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女性たちの中で起こるモーション



Q:映画は、ほぼパン屋の中だけで繰り広げられる小さい話ながらも、物語は雄弁で奥行きのある展開をみせます。


マリヤム:今回私が求めたのは、親密な二人の女性の肖像画のような映画でした。それを叶えるためには、彼女たちの内面にフォーカスする必要がある。そのため、なるべく不要なものはカットしたかったんです。そういった理由から、家と店がつながったパン屋をメインの舞台としました。ただし、彼女たちが世界の中でどのように生きているかを理解してもらうため、外の世界も登場させています。


また、中と外を差別化させるツールとして、店の窓を活用しました。窓を通して外の人の息遣いや生活、環境を感じ取ることはできますが、シャッターを閉めてしまうと内面世界だけになるといった具合です。



『モロッコ、彼女たちの朝』©️ Ali n' Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions


Q:劇中では、大きな事件や事故が起きるわけではありませんが、綴られる何気ない日常の中に、現代社会における女性の不遇が浮き彫りとなります。そのあたりが素晴らしかったのですが、脚本を書くときに意識されたことはありますか。


マリヤム:それはまさに意図したところです。大きな事件や事故を扱うことなく、女性たちのエモーションを描きたいと思いました。モーションは起きているが、それはあくまで彼女たちの内部で起きているのであって、外部で起きているわけではない。彼女たちの内部でモーションが起こることによって、彼女たちの関係性も進化していく。それをどのように見せれば良いか、考えながら脚本を書いていました。


彼女たちはどこからやって来てどこへ行こうとしているのか、彼女たちが誰であるのか、抱えている葛藤はどんなものなのか、何が彼女たちを微笑ませ、泣かせるのか、それらの全てを観客自身が体験できるように、なるべくシンプルな形で描きたかった。そのために何をすべきかは、キャラクターやシーンが教えてくれたような気がしています。





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