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『RAW~少女のめざめ~』新進気鋭のフランス人女性監督が描く、ホラーを纏った“ジュスティーヌ”の青春

『RAW~少女のめざめ~』新進気鋭のフランス人女性監督が描く、ホラーを纏った“ジュスティーヌ”の青春

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“人肉ホラー”という衣をまとった思春期の青春物語



 フランスのジュリア・デュクルノー監督の長編デビュー作『RAW~少女のめざめ~』は、非常に美しく丹精に作られた青春映画だ。ヒロインは16歳の少女ジュスティーヌ。両親と同じ獣医を目指す彼女は“神童”と呼ばれる頭脳の持ち主で、飛び級して両親の母校で姉も在学している大学に入学する。16歳という年齢はまだ子供なのか、それともすでに“女”なのか。宙ぶらりんな状態で揺れながら、ジュスティーヌは大学寮という閉鎖された世界に放り込まれ、文字通り少女からの“脱皮”を遂げていく。


 と、敢えて“青春映画”としての側面から紹介してみたが、同時に本作は「失神者続出!」という触れ込みで話題を集めている。なぜならヒロインのジュスティーヌが恋や性にめざめるだけでなく、なんと人肉食いに目覚めて“カニバリズム”の虜になっていくからだ。思春期特有の揺らぎと戸惑い、大人の扉を開ける不安と期待、そして今までに知らなかった刺激と悦楽……。そういったもののすべてが、「ベジタリアン少女が人肉大好きっ子に変貌する」というブッ飛んだプロットに集約されているのだ!




 ホラーという形式を借りて、思春期や性への目ざめを描いた作品は少なくない。代表的なものがスティーヴン・キング原作、ブライアン・デ・パルマ監督による『キャリー』(1976)で、映画は主人公の女子高生キャリーが初潮を迎えるところから始まる。母親からあらゆる性的なことを教わることなく生きてきたキャリーは、初潮をきっかけに秘められていたサイキックパワーを解放し、高校のプロムで大惨事を巻き起こす。


 最近では、17世紀の魔女裁判に着想を得た異色ホラー『ウィッチ』(2015)も、“悪魔憑き”というオカルト的なモチーフを通して少女から大人の女性へと成長する過程を描いている。厳格なキリスト教徒の一家が人里離れた森の中に移り住むが、アニャ・テイラー=ジョイ扮する娘のトマソンが初潮を迎え、性的な魅力を備えてきたことで、両親に“悪魔が取り憑いた”と疑念を抱かせるのである。


 いずれの作品でも、“初潮”や“生理”、そして平たく言うと“色気づく”ことを不浄と考える過剰に清廉潔白な倫理観が背景にある。性的に成熟することに罪悪感を覚えなくてはいけないという論理的な根拠は何もないが、少女が処女性を失っていくことが映画において恐怖表現と直結するケースが多いことは確かだ。



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