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『シャイニング』複数バージョンの比較で浮かび上がる、ホテルの呪いの正体 ※注!ネタバレ含みます。

『シャイニング』複数バージョンの比較で浮かび上がる、ホテルの呪いの正体 ※注!ネタバレ含みます。

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キューブリック作の複数エディションとS・キング版TVドラマ



 世界中の映画ファンから傑作ホラーとの呼び声が高いスタンリー・キューブリックの『シャイニング』だが、公開された国と時期により3つのバージョンが存在するのをご存じだろうか。1980年5月23日にニューヨークとロサンゼルスの2都市限定でプレミア上映されたオリジナル版は146分。だがキューブリックはその5日後、支配人アルマンがトランス家の母ウェンディと息子ダニーを病院に見舞う約2分のエピローグを削除する(※参考文献1)。全米で拡大公開された際は本編の長さが144分(143分の表記もあり)になっていた(日本では現在DVD『 シャイニング 特別版』で鑑賞可能)。その後日本を含む諸外国では、さらに多くのシーンを削除した119分の国際版(コンチネンタル版)が公開された。




 原作者のスティーヴン・キングは、自分の小説が著名な監督によって映画化されることを光栄に思ったが、封切り後はキューブリックが内容を大幅に改変したことに対して批判を繰り返した。キングは冬期休業を控えたコロラド州のスタンリー・ホテルに宿泊した経験から小説の着想を得ており、アルコール依存症に苦しんだ実体験もあった。悪霊からの干渉と家族愛の間で最後まで葛藤する主人公の作家ジャックに自身を投影したことは想像に難くないが、映画のジャック(ジャック・ニコルソン)は家族への愛情をほとんど感じさせず、終盤で妻子を追いかける狂気の形相に葛藤は見られない。“オーバールック・ホテル対ジャック”の観点でいえば、小説と映画のラストは真逆の結末を迎える。納得のいかないキングは小説に忠実な映像作品を世に出すべく、自ら製作総指揮・脚本を担ってテレビドラマ(3エピソード、計4時間33分)を1997年にリリースした(DVD『 スティーブン・キング シャイニング<特別版>』で鑑賞可能)。


 残念ながら現在はエピローグ削除前のオリジナル版を観ることはできないが、映画『シャイニング』の米国版と国際版、そしてキングのドラマ版の比較から、キューブリックが改変に込めた意図が浮かび上がってくる。



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