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  3. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
  4. 『博士の異常な愛情』シリアスドラマをブラック・コメディへと変貌させたキューブリックの革新性
『博士の異常な愛情』シリアスドラマをブラック・コメディへと変貌させたキューブリックの革新性

『博士の異常な愛情』シリアスドラマをブラック・コメディへと変貌させたキューブリックの革新性

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世界が不安定化する今、見直すべき傑作



 私の幼少期、まだベルリンの壁は建っていたし、世界は冷戦の只中だった。米ソ両国は大量破壊兵器を量産し続けてはいたものの、とりわけ80年代終わりから90年代にかけての私の目には、切羽詰まった危機は若干遠のいているように見えた。両者の争いは凶器を首元に突きつけ合うというよりは、どこか引っこみのつかなくなった意地やプライドの張り合いのように思えた。そんな時代に育ったせいだろうか、学生になって初めてレンタルビデオで『博士の異常な愛情』(64)や『 未知への飛行』(64)を観たときは、どこか遠い世界のファンタジーのように感じられたものだ。



 だが、あれから時代が一周も二周も巡った今、改めてキューブリックのこの傑作ブラックコメディを鑑賞すると、笑うに笑えない冷や汗のようなものが背筋に流れてくる。


 もともと『博士の異常な愛情』は、第二次大戦後もっとも核戦争の緊張が高まったキューバ危機(62)を挟んだ時期に製作、公開された作品だ。ふと気になって、アメリカの科学誌による「世界終末時計(Doomsday Clock)」をチェックしてみると、針が指し示す2019年の時刻は、過去最悪の「地球滅亡まで二分前」。どうやら私たちは公開から時を隔て、今ふたたび、本作を鑑賞するのにうってつけのタイミングを生きているらしい。



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