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『Zola ゾラ』ジャニクサ・ブラヴォー監督 ポップな表現に込めた意図とは【Director’s Interview Vol.235】
魔法のようだったA24との仕事
Q:この映画はA24が配給です。監督の意図をすごく尊重する映画会社だと聞いていますが、A24の印象はいかがでしたか?
ブラヴォー:A24との仕事は本当に素晴らしいものでした。彼らとのプロセスで一番楽しかったのが脚本開発です。A24のエグゼクティブ2人と一緒にアイデアを練り、脚本を作っていきました。何度もディナーを共にしながら、そのまま6時間くらいはひたすら脚本の話だけをしていました。すごく実りのある時間を過ごしましたね。昔、スマホがなかった時代は、映画を観た後は食事に行って一晩中その映画のことばかり話したものでした。ここが良かったとか、そうでもなかったとか、作っている時はどんな感じだったんだろうとか、その製作についても語り明かしました。この脚本開発のプロセスも、そうやって一晩中映画について語り合うような感じだったんです。本当に魔法のようでした。
また、私自身がこの映画に夢中になっていたし、私にはこれしかなかった。これは私が建てている家のようなものでした。とにかく頭からこの映画が離れることはなかったんです。だから、そうやって同じように感じている人たちや、私のそんな状態を普通に受け入れてくれる人たちと一緒に仕事ができたのは、本当に素敵なことでした。どんな作品になるかを想像し脚本を作り、何の制約も受けずやりたいことを思い切り追求できた。頭で思いつく限り何でも想像を膨らませることもできた。A24との仕事で一番好きだったところはそこですね。
『Zola ゾラ』© 2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved
Q:では最後に日本の観客にメッセージを。
ブラヴォー:日本で上映されることに本当にワクワクしています!アメリカでは昨年公開されて、その後ヨーロッパの一部でも公開されました。だからすでに日本でも公開されていると思っていたので、まだこれからなんだ!と驚きました。
公開前は、自分の体内に映画があるような感じがするのですが、一旦公開されると映画は私の体を離れ、私だけのものだけではなくなる。私はこの映画を4年もの間、体内で育ててきました。その子が旅立ち、その子からの手紙を待っていたところに、日本で公開すると数週間前に手紙が送られてきたんです(8月上旬取材当時)。出来ることなら日本に行きたかったです!
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© Brigitte Lacombe
監督・脚本:ジャニクサ・ブラヴォー
人生の半分をパナマで、半分をブルックリンで過ごす。ニューヨーク大学のプレイライツ・ホライズンズ・シアター・スクールで演出と演劇のデザインを学び、ニューヨーク、ロサンゼルス、マドリッドで演劇を上演。キャサリン・ウォーターストンとブレット・ゲルマンが主演の初の短編映画『Eat(未)』はSXSWでプレミア上映された。2016年、ドナルド・グローヴァーが主演、制作総指揮、監督、脚本を務めるコメディードラマ「アトランタ」の1話を監督。2017年、中年俳優アイザック(ブレット・ゲルマン)を主人公にした風刺コメディ『Lemon(原題)』にて長編デビュー。本作はサンダンス映画祭で上映された。そのほかの監督作に、ドラマ「ミセス・アメリカ〜時代に挑んだ女たち〜」(20)や「イン・トリートメント」(21)など。本作の成功により一躍脚光を浴び、人気ブランドmiu miuの女性監督シリーズに抜擢され、待機作も多数。現在、ハリウッドで最も注目される若手監督である。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『Zola ゾラ』
大ヒット上映中
配給:トランスフォーマー
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