『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』竹林亮監督x円井わん タイムループを現場が徐々につかんできた!【Director’s Interview Vol.249】
『時をかける少女』(83/06)『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)『恋はデジャ・ブ』(93)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)などなど、タイムループ映画の名作群にまた1本の映画が加わった。『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』は、現代の日本を舞台に、しかも会社内という限定空間をフル活用した「そうきたか!」感満載のタイムループ映画。タイムループ映画のお約束をしっかり踏襲しつつ、お仕事映画として人生の意義や深みも感じさせてくれる完成度の高い作品に仕上がっている。
タイムループを表現するためにはかなり緻密な構成と撮影が必要だろうが、実際の現場はどうなっていたのか? 竹林亮監督と主演の円井わんに話を伺った。
Index
きっかけは上司のツイート
Q:今回はなぜ「タイムループ」映画にされたのでしょうか?
竹林:僕と脚本の夏生さえりさんはCHOCOLATE Inc.(以下、チョコレイト)という会社に所属しているのですが、僕たちの上司が毎年同じようなツイートをしてたんです。「今年はすごいもの作るぞ!」って毎年つぶやいていた。それを見た会社のメンバーから、その上司は実はタイムループしてるんじゃないかって説が出て…(笑)。それは面白い!という話になり、短編を作ろうとしていた企画案の中の一つにその話も入れたんです。で、結局その上司の話で作ることになってしまった(笑)。社内のちょっとした小話が原案になったという感じですね。
Q:上司が毎年つぶやいていた同じツイートが、実はタイムループなのではないかと。
竹林:そうですね。「(上司って)実はタイムループしてるんじゃない?」と誰かが言い出し、「確かに!私も思った」と広がっていく。でもその上司だけタイムループに気づいてない。そういう話を脚本の夏生さんが思いついたんです。そこから全体の構成を組むときに突き当たったのが、タイムループの頻度をどうするかという問題でした。1日のタイムループか1週間のタイムループか、果たしてどれくらいのサイクルが良いのか。社会人という点で考えると、今日が何曜日か分からない生活をすることってよくありますよね。それで1週間のタイムループが丁度良いのではとなり、この話の原型が出来ていきました。
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(C) CHOCOLATE Inc.
Q:現実の出来事がアイデアのきっかけになっているのが面白いですね。その後脚本ができるわけですが、最初に読まれた印象はいかがでしたか。完成した映画は分かりやすいですが、脚本で理解するのは難しそうですね。
円井:確かに難しかったですね。とりあえず全部読んで「ほほう」となりました(笑)。物語の流れ的には理解はしたのですが、実際の撮影がどうなるのか分からない部分が多かった。でもそこは実際に芝居をすれば大丈夫かなと、撮影がすごく楽しみでしたね。
Q:映画は広告代理店のプレゼン作業が舞台となっています。広告制作を経験されている竹林監督には馴染みの風景でとてもリアルに描かれていましたが、出演者のみなさんに業界の実情を伝えたりしましたか?
竹林:最初に皆で集まったときに、今回の題材について軽く身の上話をしておきました。
円井:私は撮影前にチョコレイトさんにお伺いして、実際の様子を見学させてもらいました。
Q:映画のように会社で寝ている人はいましたか?
竹林:それはいませんでしたが(笑)、「こういう大変な生活もある」と、過去の体験談なども含めていろんなお話をしました。
円井:広告代理店で働いてる友だちがいるので、その子に実情を聞いたりもしました。これはたまたまなのですが、実はその子は先日私が出演したCMの担当だったんです。「そういう偶然もあるんだな」って思いましたね。