1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『チケット・トゥ・パラダイス』オル・パーカー監督 ドラマの本質は“家族”【Director’s Interview Vol.254】
『チケット・トゥ・パラダイス』オル・パーカー監督 ドラマの本質は“家族”【Director’s Interview Vol.254】

© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

『チケット・トゥ・パラダイス』オル・パーカー監督 ドラマの本質は“家族”【Director’s Interview Vol.254】

PAGES


「石」を投げるのは難しい



Q:ケイトリン・デヴァーは、まさにジョージとジュリアの⼆⼈から⽣まれてきた娘!といった感じがしてバッチリのキャスティングでした。彼⼥の出演はどのように決まったのでしょうか? 


パーカー:彼女は僕の友人でこの役も当て書きなんです。同世代の中でも抜きん出た素晴らしい役者で人柄も素敵、ぜひ彼女にこの役をやって欲しかった。ケイトリンはこれまで虐待を受けた被害者のようなキャラクターを演じることが多かったのですが、この作品ではハッピーで美しいキャラクターを演じてもらいました。それがすごくハマったと思うし、演技も素晴らしかった。ジョージとジュリアは自分たちの娘役がケイトリンだと聞いた瞬間、とても喜んでいました。その日のことは今でも良く覚えていますね。



『チケット・トゥ・パラダイス』© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.


Q:今回の映画には悪⼈が出てきません。皆いい⼈たちばかりですが、それでもすれ違いやトラブルが起こり⾯⽩く展開していく。でも実際は、悪⼈を出さずに物語を進めるのは難しいのではないでしょうか?

 

パーカー:そうなんです、難しいんですよ!そこを分かってくれて嬉しいです(笑)。でもそれが自分の世界観になっているのは、いわゆる“悪人”を自分が信じてないからかもしれません。もちろん映画の全てを楽観的に描こうとは思ってなく、例えば以前に監督した『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』では人の死も含ませました。何かしらの“痛み”があって、最後にカタルシスがあればそれで映画は成立する。


欧米でよく言われている脚本の三幕構成とは、最初に人を木に吊って、次に石を投げつける、そして最後に人と自分が変化し世界全体を変えて終わるというもの。でも僕はこの2番目の「石を投げる」のがすごく苦手なんです。そもそも実生活でも石を投げるのは苦手だしね(笑)。脚本家としての自分の欠点は、この石をうまく投げられないところかもしれません。それでも色々勉強して、以前より少しは投げられるようになったと思うけどね。





PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『チケット・トゥ・パラダイス』オル・パーカー監督 ドラマの本質は“家族”【Director’s Interview Vol.254】