2020.08.30
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「童貞映画」の設定をひっくり返した傑作コメディ
「童貞映画」というジャンル映画は洋の東西を問わず数多くある。10代後半の非モテ男子が、なんとか童貞を捨てようと四苦八苦する顛末を描きながら、最後には大人への階段を一歩か二歩あがったところでお終い、という笑いと涙にほろ苦スパイスを加えた青春映画の一群だ。
童貞喪失がテーマであるからして、その主人公は当然、男子。女子は予測不能にしてミステリアス、高嶺の花として描かれるのがお決まりだ。本作は、その構図をひっくり返し、高校生活を勉強一筋で通した真面目ガリ勉(死語)女子2人が、卒業前夜、心に秘めてきた恋を成就させるべく、夜のLAを疾走する痛快篇である。すこぶる傑作であると断言したい。
しかし、主人公を男から女に置き換えただけで、映画史の中でウン百回と繰り返された設定の青春コメディが、なぜそんなに面白くなったのか。それはもちろん製作者たちの様々な創意と工夫の賜物なのだ。