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『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』青春コメディの傑作を生んだキャスティングの妙と多様な演出

(c)2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』青春コメディの傑作を生んだキャスティングの妙と多様な演出

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青春映画をバディムービーとして演出



 監督を務めたオリヴィア・ワイルドはこうコメントしている。


 「『ビバリーヒルズ・コップ』(84)や『リーサル・ウェポン』(87)などの映画を参考に、バディ物の警察映画のように、お互いを支えあう2人を描きたかった。性格の異なる2人が、命がけの状況でお互いを補い合う姿をね。”ガールズ映画を作ろう”という考えはなかった」


 主人公2人は、片思いの相手が参加するパーティー会場を探し求め、夜のLAを右往左往する。その様子を見ていると、確かに往年のバディムービーのノリを思い出す。


 モリ―とエミリーの漫才のような掛け合いも『リサール・ウェポン』のメル・ギブソンとダニーグローバーを彷彿とさせる。



『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(c)2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.


 典型的な青春映画の道具立てを揃えながら、演出手法を、そこから敢えてずらす。こうした試みは、他のシーンでも見ることができる。中盤、誤ってドラッグを飲んでしまった2人は酩酊し幻覚に襲われるが、そのシーンは急にストップモーションアニメになってしまう。何をストップモーションで動かしているのかは是非、実際に見て確認して頂きたいが、本作でも出色の爆笑シーンとなっている。


 さらに、後半、パーティ会場で、意中の相手と良い雰囲気になるシーンは、急にシリアスでアート系青春映画のようなトーンとなる。エイミーが恋する女性とプールの中で戯れるシーンなどは、アート系アンビエント青春映画といった趣さえある。


 こういった多様な演出技法によってアメリカ伝統の青春映画を進化させたことが本作最大の成功要因ではないだろうか。



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