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『ある男』石川慶監督 「邦画を作ろう」という思いがあった【Director’s Interview Vol.263】

『ある男』石川慶監督 「邦画を作ろう」という思いがあった【Director’s Interview Vol.263】

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イメージの相違からも広がるものがある



Q:妻夫木聡さん、安藤サクラさん、窪田正孝さんらメインキャストの方々の演技が凄まじいです。こういった演技派の方々に対してはどんなことを話されて、いつも演出されているのでしょうか。

 

石川:妻夫木さんとは全体の構成やラストの方向性について相談させてもらいましたが、メインの三人と話し込むようなことはほぼ無かったですね。用意した美術や衣装などでこちらの考えを受け取ってもらい、それに対して芝居で返してもらう。そういったすごく大人なやりとりでした。


Q:脚本をお渡しした後は、自分なりに考えたキャラクターとなって現場に現れたということでしょうか。


石川:そうですね。衣装合わせのときに話す機会はありましたが、その時点でズレは感じませんでした。あのクラスの役者さんになるとほぼ間違いないですね。こちらと多少イメージが違ったとしても、そこから広がるものもある。あえてこちらから提示しない方が上手くいくことが多いですね。



『ある男』©2022「ある男」製作委員会


Q:妻夫木さん演じる城戸はミステリーの部分を牽引していく部分を担いつつも、自身のアイデンティティについて対峙していく。そのバランスは難しかったのではないでしょうか。

 

石川:『愚行録』のときのように、妻夫木さんは狂言回しとなって話を聞く役なのですが、今回は最後にグッと前に出てくる必要がある。ただ話を聞いていればいいわけではなく、ある程度存在感を示しつつも関係性は邪魔しないという、ものすごく難しい役柄だったと思います。


こういうラストシーンがあって、そこに向かって城戸という人物を作っていきたいと、最初に話をさせてもらいました。城戸がどのタイミングで前に出てくるのか、二人で探りながら撮影を続けました。





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