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『サイド バイ サイド 隣にいる人』伊藤ちひろ監督 この映画自体がコミュニケーション【Director’s Interview Vol.305】

『サイド バイ サイド 隣にいる人』伊藤ちひろ監督 この映画自体がコミュニケーション【Director’s Interview Vol.305】

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映画ってコミュニケーション



Q:脚本だけではなく監督も手がけることになった経緯を教えてください。


伊藤:監督をやろう思ったのは、人とコミュニケーションをとりたかったから。『ひとりぼっちじゃない』の原作小説を書いていた期間があまりにも長く、他の映画の脚本を書きながら小説を書くという時間だけで10年近くを過ごしてしまいました。物書きとして家にこもるだけの生活になってしまうと、最小限の人間関係しか生まれなくなって、自分の身近な人とだけしかコミュニケーションを取らなくなる。もっと外に出て、いろんな人たちと会話を重ねて新鮮なものを受け入れていくようなコミュニケーションを取らないと、物作りをする際にキャラクターが生まれてこない気がしたんです。それで映画監督をやってみようと。そういう意味では、この映画自体がコミュニケーションであり、それが私の中でもテーマになっています。


Q:では監督をやろうとしたのは、最近のことなのですね。


伊藤:そうですね。本当に最近です。自分が映画監督をやるとは全く思っていなかったのですが、急に思い立ちました。コロナ禍を経験して人生を見つめ直し、住む場所を変えたり職業を変えたりされた方も多いと思いますが、その感覚に近いと思います。



『サイド バイ サイド 隣にいる人』©2023『サイド バイ サイド』製作委員会


Q:コミュニケーションを取りたかったという思いは、かなり映画に投影されているように感じます。


伊藤:作っていく過程の中でも発見があって、自分の感覚が無意識に反映されているような部分がありました。映画を作るきっかけは私の思いでしたが、作り始めてから観客に観てもらうことで完成するという意味でも、映画ってコミュニケーションだなと思います。


Q:監督という仕事はコミュニケーション過多だと思いますが、その意味ではコミュニケーションがいきなりドンとやって来たのではないでしょうか。


伊藤:ドンと来る感じでした(笑)。でもそれぐらい大きく振らないと、今の自分を変えられない。当時はそれくらい煮詰まっていたんです。




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