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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ジョナサン・ワン プロデューサー A24以外では成立しなかった【Director’s Interview Vol.309】
ダニエルズの企画を実現するためには
Q：ダニエルズはMV製作時代からの盟友ですが、彼らが生み出す奇想天外で新しいアイデアをプロデューサーとして実現させるのは大変だと思います。ダニエルズの企画はいつも前例のないプロジェクトだと思いますが、それをどのようにして実現しているのでしょうか
ワン：僕は典型的なビジネスプロデューサーではありません。プロデューサーの顔はしていますが、常にダニエルズと同じ目線で彼らのアイデアを実現しようとしています。僕らはお互いに考えていることを共有し「one mind」であろうとしています。そのためには作品が何を訴えようとしているのかを理解する必要がある。今回は複雑でクレイジーなマルチバースという表面上のものに捉われることなく、「母と娘、家族の物語」として伝えることが重要。それによって、ビジネス的に展開していくときも自分なりに作品をパッケージ化して説明することが出来るんです。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』© 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
とはいえ、僕らはインディーズ映画を2本作っただけだったので、知名度が低い中での資金集めでした。色んな映画会社にプレゼンしていく中で、僕らが想定していた予算に最も近い額をオファーしてくれたのがA24だったんです。そこからは、限られた予算でこの作品をどう作るか、徹底的に話し合いました。それはまるで、アポロ13のクルーを地球に生還させる作業のようでした。それくらい困難なものでしたね。でも映画の魔法とはこんなときに起きるんです。予算的に制限があったからこそ、これだけのクリエイティブアイデアを自由に出せたのだと思います。
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