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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』“家族”という呪いを解く未曾有のマルチバース映画 ※注!ネタバレ含みます。

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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』“家族”という呪いを解く未曾有のマルチバース映画 ※注!ネタバレ含みます。

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


Index


母と娘の断絶が全マルチバースを滅ぼす



 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が、アカデミー賞で作品賞以下7部門に輝く快挙を成し遂げた。奇想天外なアイデアを繰り出す監督コンビ、ダニエルズの独創性に快哉の声が上がれば、そこまでの作品や才能かと疑う否定派の声も聞こえてくる。また、マルチバースが入り乱れる哲学的SFであること、アジア系アメリカ人の文化やLGBTQといったマイノリティ要素を扱っていること、膨大な引用元やパロディネタが仕込まれていることから、ネットの海にはさまざまな考察や解釈が飛び交っている。


 作品内の情報量も膨大なら、作品自体にまつわる論考も過密状態。果たしてこれ以上、この映画について書くことなんてあるのかと二の足を踏みそうになるが、たぶん、ある。少なくとも非常にパーソナルなレベルでは。なので、ここではなるべくベーグルとクッキーと家族の葛藤に話題を絞って書いてみようと思う。


『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』予告


 まず本作が、母と娘のこじれた関係を主軸にしていることについて疑う余地はないだろう。主人公のエヴリン(ミシェル・ヨー)は、幼なじみのウェイモンド(キー・ホイ・クァン)と駆け落ち同然に結婚してアメリカに移住。頼りない夫に呆れつつランドリー店を切り盛りし、レズビアンの娘ジョイの将来に頭を悩ませ、父親との関係や、国税庁に目をつけられながらの税金申告などなど、抱えることが多すぎてアタマは爆発寸前。それなのに突然、全マルチバースを消滅の危機から救う役割まで負わせられるのだ!


 劇中で起きる奇想天外なできごとは基本的にメタファーであり、すべてはエヴリンとジョイが“親子”という呪いから脱するための通過儀礼だといえる。そしてエヴリンの前に最大の障壁として立ちはだかるのが、マルチバースを滅ぼす力を持つ別次元の存在“ジョブ・トゥパキ”である。


 予告編でも示唆され、またかなり早い段階で明かされるのでネタバレではないと判断するが(気になる方は先に映画をご覧ください)、ジョブ・トゥパキの正体は別次元のジョイであり、マルチバースを行き来する強大な力を手に入れた結果、《すべてを載せたベーグル》を創り出す。これが比喩ではなく本当にベーグルなのがダニエルズの人を食ったところ。筆者は物理の知識に乏しいが、ベーグルくらいの大きさに宇宙のすべてを詰め込んだら、質量が膨大になってすべてを吸い込むブラックホール状態になってしまうことはわかる。





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