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『苦い涙』フランソワ・オゾン監督 敬愛するファスビンダーへの挑戦【Director’s Interview Vol.318】

© 2022 FOZ - France 2 CINEMA - PLAYTIME PRODUCTION ©Carole BETHUEL_Foz

『苦い涙』フランソワ・オゾン監督 敬愛するファスビンダーへの挑戦【Director’s Interview Vol.318】

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自分自身を繰り返さないこと



Q:ファスビンダーの世界であなたが魅了される点はどんなところでしょうか。


オゾン:その自由なところですね。仕事のやり方も、ジャンルやテーマの豊富さも。お金がなくても素晴らしい映画を作ってしまう。『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を、彼はたった10日で撮りました。演出は創意に富んでいるし、俳優たちの演技も素晴らしい。そういうものを創造する彼のエネルギーに魅了されます。僕は映画の多様性が好きだし、自分自身を繰り返したくはないので、つねに異なるものを撮りたいと思うのです。


もっとも、彼のように切迫したものは、わたしにはありません。彼は年に7本も撮ったり、どこか生き急ぐような、早く作らなければならないという脅迫観念があったのかもしれない。僕にはそれはない。映画を作ることがただ楽しみなだけです。だから年に1本ぐらいが自分にとってはベストなペースだと思います。反対に、キューブリックのように10年かけて一本の映画を撮るというようなタイプでもない。



『苦い涙』© 2022 FOZ - France 2 CINEMA - PLAYTIME PRODUCTION ©Carole BETHUEL_Foz


ダグラス・サークに学んだ色彩設計



Q:本作では時代感溢れるカラフルな色彩設計もとても印象的です。


オゾン:まさにファスビンダーがそうでした。『ローラ』(81)なんて、本当に色彩豊かで驚きます。ファスビンダーもダグラス・サーク好きですが、僕もサークの映画を観ながら、色彩を使うことを学びました。だから今回も「トゥーマッチであることを恐れるな」と自分に言い聞かせながら作りました。アンチ・ナチュラリストとでも言いましょうか。フランス映画では珍しいですが、色彩で遊ぶのは本当に楽しかったです。



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