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『何をそんなに慎ましく』吉田奈津美監督 言葉にならないものを伝える 【Director’s Interview Vol.322】

『何をそんなに慎ましく』吉田奈津美監督 言葉にならないものを伝える 【Director’s Interview Vol.322】

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心惹かれたキャスト3人



Q:主演には野内まるさん(草)、山本奈衣瑠さん(さおり)、須藤蓮さん(一樹)の3人が決まっています。キャスティングの経緯を教えてください。


吉田:映画祭TAMA CINEMA FORUMで『猫は逃げた』(21)を観たのですが、出演していた山本さんが強烈に目に焼き付きました。柔らかい雰囲気の中に芯の強さを持つ山本さんは、さおりにぴったりだなと。山本さん演じるさおりを見てみたいという純粋な気持ちで、企画書と脚本を事務所にお送りしてオファーさせていただきました。当時はまだ『猫は逃げた』は劇場公開前だったので、何でこんなに早くオファーが来るんだと事務所の方は不思議がっていたそうです(笑)。


須藤さんへのオファーは、彼の出演している『ワンダーウォール 劇場版』(20)がきっかけです。劇中、須藤さんがバスに乗っているシーンがあるのですが、特にセリフはないものの、彼の中で動いている感情がスクリーンからすごく伝わってきた。今回の一樹という役も、セリフは少なく自分の考えていることを言葉に出す人ではない。そこは近いものを感じました。実際に須藤さんとお会いしたときも、須藤さん自身、自分の考えを言葉にするまでに、さまざまな思考が介在しているような印象があって、そこもすごく一樹に近い印象がありました。




野内さんには「草(ソウ)」という主人公をお願いしていますが、草は最後までなかなか決まらなかった役でした。山本さん、須藤さんは決まったものの、ずっと草役が空いていたんです。そんなときに野内さんと初めてお会いしたのですが、何か感じるものがありました。野内さんの中には強いものがあるけれど、それを世界にどう接すればいいのか、戸惑いや揺らぎを感じているような気がしました。そこがすごく草に近いなと。当時はまだ出演作が少なかった野内さんですが、そのことよりも、野内さんと対話をしながら作品を作りたいという気持ちが勝ちました。それでオファーさせていただきました。


ティザーでは日常を切り取った柔らかい映像になっていますが、本編では3人の感情が露わになるシーンも多くなる予定です。それぞれの役が葛藤を抱え苦しさのピークを迎えたとき、どう画面に映ってくるのか、それが今から楽しみですし、丁寧に撮影を重ねていきたいです。





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