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『大名倒産』前田哲監督 映画作りはチームプレイ。だから面白い【Director’s Interview Vol.323】

『大名倒産』前田哲監督 映画作りはチームプレイ。だから面白い【Director’s Interview Vol.323】

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空間を活かしスケール感を演出



Q:江戸の町を大きく広く見せる“抜けた”画作りも印象的でした。ロケーションはどのように選ばれたのでしょうか。


前田:原作の浅田次郎先生との約束が“スケール感”だったんです。テレビドラマにはならないように、“抜け感”はすごく意識しました。オープンの撮影所や滋賀のロケーションを組み合わせながら、どれだけ広く見せるか工夫しています。遠くの景色の先のところだけは少しCGでフォローしていますが、基本的には実際にあるものを活用しています。「はい、CGでやってますよ」と全面的に使うのではなく、たとえば石垣をプラスするとか電信柱などのバレ物を隠すなど、CGはさりげなく使っていますね。


Q:城中の畳のシーンも広く感じました。日本の家屋は天井が低く見えがちですが、今回はそれもなかったです。 


前田:それは良かったです。かなり広い大広間を借りることができたものの、そこに並べる人が足りない。「10人くらい並べましょうか?」と言われたのですが、「いや、二人だけでいい!」と。老中2人が並んでいるだけ。人がいないことを逆手にとって空間をうまく活かしました。大きく広いところにポツンといるのが江戸城っぽいなと。そこはうまくいきましたね。



『大名倒産』© 2023映画『大名倒産』製作委員会


Q:小四郎が幼少期に住んでいた場所も、クレーンを使ってダイナミックに撮られていました。


前田:あれは実際にある場所をお借りして撮りました。クレーンは諸事情により二日ぐらいしか使えなかったのですが、ここぞ!というときに使えたと思います。カメラワークはどこで動かすかが重要で、やたら動かせばいいというものでもない。そこも工夫が必要なんです。


Q:『大名倒産』とお金に関わる映画ですが、先ほどのスケール感もしかり、これだけ規模の大きな映画だとお金もかなりかかったのではないでしょうか。


前田:それこそ「映画は節約でございます」ですね。本当に工夫して知恵を絞ってやっていく。無尽蔵に予算があればいいですが、物事には全て限りがある。そこをどう工夫して面白い映画を作るのが、腕の見せ所でもあるのではないでしょうか。





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